会議・営業・プレゼンにおける質問の攻防
「そこに来たか!」という、思いがけない質問を投げかけられた経験をお持ちの方は、多いのではないだろうか。ときに重箱の隅をつつくようであるため、会議でも、営業でも、プレゼンでも、いくら準備をしてもどんな質問にも100%答えることは難しく、自分の盲点をつかれることもある。
先日、講演をさせていただいたときに、言語習得にいかにインプットが大切かを理論サポートするために、少しだけ言語研究機関の実験データを用いた。12週間限定で、グループ1は前半インプットをして英語を聞き書き取る練習を続けて、後半に話す練習をする。グループ2は最初から聞いて話す練習をする。これで1のほうが発話力も総合力も上回ったというものだ。忙しさもあって少々準備不足ながら、全体的にはみなさん好意的にお話を聞いてくださり質疑応答を迎えた。
すると、ひとりの方から「たとえば日本にいる外国人は書き取りなどせずに、聞いてすぐに話すのに上達する。その研究データは意味がないのでは」という質問をいただいた。そこで、「あくまでも実験ですので、決められた条件下で結果を導く必要があり、あらゆる場面にはあてはまらないと思います」「このデータが示すのはインプットによる言語習得の効率の良さの一例にすぎず、たとえば母親から小さな子供への語りかけをインプットとみなすと日常でも……」などとお答えする。なにぶん瞬時の回答なので、とっさに口に出てくる言葉は十分ではない。
今度は「子供は書き取りはしない」と、どうやらその実験条件の細部から離れられず納得がいかない様子。「書くことがここでのポイントではなく……」と、どうどう巡りになりはじめたのだが、私は、たとえばこんな風に回答すべきだった。