相手の魅力を使って話をさらにおもしろく

相手から話題やキーワードを引き出すことから、その場の話をさらにおもしろくする人たちがいる。人気司会者やインタビュアーはその名手といえるだろう。先日うかがった阿川佐和子*1)さんと茂木健一郎さん*2)の対談も、お二人の掛け合いと引き出し合う情報がうまく解け合って、相乗効果でおもしろくなるそのものだった。

阿川さんが、ときにおしゃべり風な会話に茂木さんをのせたり、質問を投げたりしながら、実験や専門的データを引き出していく。お二人ともお話上手で興味深いけれど、今回は阿川さんの巧みな話術から、私たちが「相手の力を引き出して、自分の話をさらにおもしろくする」方法を考えさせていただこう。

阿川さん自身の伝え方には、実際に会った人とのエピソードなどふんだんな実体験を自分なりに咀嚼して、データではない、情景が浮かぶような表現を使うことが多くみられる。それに対しておしゃべり風に返したくなるのもポイントのひとつ。また、「コミュニケーション能力とは発信力である」といった風潮が強い中で、相手の持っている発信力を引き出し、ついでにその力をテコのように使ってグイと自分の話をおもしろくしつつ、説得力を持たせるところにも特徴があるようだ。

どのように人から話を引き出すのか、また、どんな風に咀嚼してエピソードを伝えていたかを拝見していこう。