大切なのは、「スムーズな」実体験
たとえば楽器を弾けなくても自分で奏でてみることで、その楽器がどうやって音を出しているのかが説明を受けるよりもより明確になる。感触が残るからだ。実際、デモをして人にさわってもらえるならば、体験してもらうほうが話の効果はましていく。
たとえば店頭で誰でも簡単に使えるミキサーや包丁の販売で、見事なほどの人だかりをつくり、デモが終わるまで観客を見続けさせる宣伝販売をみかけることがある。かれらはその場で目に焼きつくように、手際よく鮮やかな技でデモを行う。まずは話で引きつけ、デモを見せながら話でつなぎ、そしてデモ製品を取り巻く観客に実体験させていくといった段階を踏む。それはとてもおもしろいもので、デモをすることがある人にはぜひ見て欲しいと思うほどである。
中でも大切なのは「スムーズに実体験できること」だ。そのためには、絶対に観客が簡単に操作できる段階になるまで触らせないし、触らせるときにはきちんとうまくいくコツを伝えている。一般の客が見事に使いこなせたとき「ほーっ」と感動を呼び起こすことで、「聞いて、スゴいんだ」と人にも話したくなるだろう。そして最後にはきちんと「見てるだけじゃなくて買ってちょうだい」などと、具体的に「なにをすべきか」を言葉にして行動を促す。
店頭の販売員と企業の製品紹介では条件が違うものの、これだけの人を集めて釘づけにするその流れを分解してみると、こんなコツがあった。