「レッド企業」の具体的な指標と企業名

以上が成長実感を持てないパープル企業の特徴であるが、では筆者提唱の「レッド企業」とはどういう企業か。パープル企業と反対の企業ということになるが、具体的な指標は以下の5つだ。指標に登場する数字・基準などは、これまでの企業取材や専門家への取材で得た知見をベースにしたものである。

① 1人あたりの教育研修費が10万円を超え、e-ラーニングなどの自己学習の仕組みが充実している。

② 資格・スキル修得を奨励し、取得のための助成金、取得後の報奨金制度を設けている。

③ 人事異動に希望申告制度や社内公募制を活用し、全社の異動のうち希望申告や社内公募の割合が3割以上を占めている。

④ ペイフォージョブ、ペイフォーパフォーマンスに基づく報酬制度が徹底し、昇格・昇進の年次制限がなく、“飛び級”もあり、かつ人事評価しだいで降格もある。

⑤ 社内の等級ごとの定義が明確であり、求められる能力・スキルを明記し、かつ全社員に公開している。

1人あたりの教育研修費は企業平均で年間3万~4万円であるが、少なくとも「人材投資」を掲げている企業は10万円超はあってもよい(※)。また、e-ラーニングなどの自己学習のシステムを導入する企業も増えている。さらに資格取得奨励金制度や取得後に数万円の報奨金を設けている企業もある。(※:東洋経済新報社『CSR企業総覧(雇用・人材活用編)』「従業員1人あたり年間教育研修費用」参照)

求める能力とスキルを社内に公開する企業

③の企業は「キャリアオーナーシップ」(※)や「キャリア自律推進」を掲げている企業に多い。ある中堅証券会社は「会社の人事権を社員に返していく」方針の下、社内公募の活性化に注力している。

※ 富士通、エーザイ、NTTドコモ、マクニカ、小田急電鉄、SHIFT、三井住友海上、ニトリ、ヤフーなどが、1on1、副業、研修などの仕組みを通じて社員の主体的な成長を支援している。

④はいわゆるジョブ型企業に多い(※)。理論的には20代で管理職層の等級に上がることができ、報酬が上がるのはもちろん、大きな仕事を任せられ、経験の幅も広がる。ただし、評価が落ちると降格する可能性もあるが、挑戦意欲の強い人には最適だろう。

※ 富士通、リコー、カゴメ、ソフトバンクグループ、三井住友海上火災など

⑤求める能力とスキルを社内に公開する企業(※)は、近年増えている。また、目指すのが管理職なのか、専門職(スペシャリスト)なのかを選択できるコースを設ける企業も増えている。

※ ベネッセホールディングス、ニトリ、日立製作所、富士通、カゴメなど。

以上の仕組みを持つ企業がレッド企業ということになるが、ただしキャリアを選ぶのは自分自身だ。

どういうスキルを身につけて、将来はどうありたいのかというキャリア像を明確に描くことが大前提となる。

そのためには今の自分の能力がどの程度なのかを知ることであり、その上で不足しているものがあれば、それを埋めるためにどういう方法があるのかを考えることだ。その上で会社が提供する資源を活用する。主体的に具体的なキャリアを描ける人こそレッド企業に向いているだろう。

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