目標設定のために上司は部下と数時間対話する
北欧の人々はプロセスを合理的・実利的に組み上げることを大切にする。
「火事が発生したら、日本人はどうやって消火するかに意識が向き、北欧の人々は将来発生しないためのプロセスづくりを考え始める」とも言われている。視点が、 “現在の延長上(フォーキャスト)”ではなく“描く未来像からの逆算(バックキャスト)”に立脚している点が特徴である。
北欧は実験国家とも呼ばれるが日本のような「せっかち」の趣はない。「急がば回れ」の時間感覚を有し、「対話-納得-合意」のプロセスを回していく。それが結果的にいい成果につながるのである。企業における個人業績目標設定においても、上司と部下は数時間の対話時間を持つ企業が多いようである。十分な対話を行うことで「相互理解」「目標共有」「アクションと結果へのコミットメント」が深まる。こういう合意形成プロセスを北欧企業は各国でキッチリ実行している。異文化・多国籍環境でビジネスを回している人にほど勧めたいお作法である。
今回のインタビューを通じて「北欧の人は日本が好きだしリスペクトしている」と多く耳にした。「対立の多いアメリカスタイルはストレスだ」というスウェーデン人の社長もいた。北欧はとても親日度の高い地域なのである。
折しも7年後の東京オリンピックが決定した。国内においても異文化コミュニケーションの必要度は高まる一方であろう。これまでアメリカの影響を強く受けてきた我々にとって、グローバル化の参考事例をより多く持つこと自体に意味がある。北欧は十分にその任を果たすだろう。