大手コンビニ「ミニストップ」が、2026年2月期の最終損益見通しを60億円の赤字へと急転させた。発端は、店内調理商品で行われた消費期限偽装だった。だが、危機は不祥事だけではない。ミニストップが長年の武器としてきた「店内調理」という独自路線そのものが、いま経営の重荷になりつつある。フリーライターの宮武和多哉さんが、低迷の原因と打開策を探る――。
「ミニストップ」看板
筆者撮影
「ミニストップ」看板

赤字急落の原因は「偽装」

大手コンビニ「ミニストップ」の運営会社(株式会社ミニストップ)が、2026年2月期(2025年度)の業績予想を「7000万円の黒字」から「60億円の赤字」に下方修正した。コンビニ大手3社のセブン‐イレブン・ファミリーマート・ローソンから引き離されているとはいえ、国内で1796店(2025年11月末時点)を展開するミニストップの業績がここまで急落するのは、前代未聞の事態だ。

今回の業績急落の原因は、2025年8月に発覚した「食品の消費期限偽装」にある。ミニストップの店内厨房で製造した「手づくりおにぎり」で「19時・20時が期限のラベルに、23時が期限のラベルを重ね貼り」といった初歩的な偽装を施していた。つまり、売れ残りによるロスを防ぐために、期限切れのまま意図的に販売していた、ということだ。

その後の社内調査では、唐揚げ・アメリカンドックなどの総菜でも期限の偽装が発覚しており、店舗によっては「店ぐるみの暗黙の了解」で行われていたケースもあるという。偽装が行われたのは1796店中25店で、こういった偽装を可能にしたミニストップの管理体制にも問題があり、決して許されるものではない。

一連の偽装に対してミニストップの反応は極めて素早く、全店でのおにぎり・総菜類の販売を停止した上で、内部への監視カメラ導入や、「決められた時間外のラベル発行で本社にアラートが届く機器の設置」といった対策に11億円を投じ、発覚した店ではオーナーも交代。ミニストップとしての信頼回復を急いでいる。

「手づくりおにぎり」販売中止のお知らせ。消費期限偽装の事実には触れていない
筆者撮影
「手づくりおにぎり」販売中止のお知らせ。消費期限偽装の事実には触れていない

低迷は今に始まったことではない

しかし、手作りおにぎりを含む店内調理商品(決算資料での呼称は「店内加工FF」)の売り上げが前年比6割~7割まで落ち込んでいる。これまでミニストップを支えてきた「店内調理商品の強化」という独自の販売スタイルが、岐路に立たされていることは間違いない。

ただ、ミニストップの低迷はいまに始まったことではなく、前期(2025年2月期)は67億円、2024年2月期も4億6800万円の最終赤字(純損失)を出している。

さらにさかのぼっても、最終赤字に転落した18年2月期からずっと、韓国ミニストップの売却益があった2023年2月期以外すべて、ずっと黒字が遠のいている。実は偽装発覚に関係なく、ミニストップはここ数年ずっと岐路に立たされているのだ。

ミニストップの最終損益 決算資料を基に筆者作成。黒字に転じたのは2023年2月期だけ 
ミニストップの最終損益 決算資料を基に筆者作成。黒字に転じたのは2023年2月期だけ 

ミニストップはコンビニ上位3社(セブン‐イレブン・ローソン・ファミリーマート)にはない「店内調理」(パフェ・ホットスナックなど)という絶大な武器を持ち、親会社であるイオンからは、利益率が良いPB商品(トップバリュ)の提供も受けている。

さらに、現在のイオングループの総帥・岡田元也CEOが1号店(横浜・大倉山店)の店長を務めるなど、グループの中でも名門企業の部類に入る。にもかかわらず、なぜミニストップの低迷は続き、コンビニ大手3社の差は開いているのか? そもそも、不正が起きた店内調理の商品に、なぜこだわり続ける必要があるのか。

実際の店舗を見ながら、低迷の原因を探りつつ、ミニストップの行く道として予想されている「まいばすけっと転換」の可能性を考えてみよう。