私たちは、時間を上手に管理するために、目標を立ててブレークダウンし、今日はこうあるべきと計画を立てるのだが、それが実行できずに元に戻ってしまうことがよく起こる。それはなぜなのだろうか? そこのところを本質的に解決しようとするのが、「タイムマネジメント4.0」の考え方である。
フランクリン・コヴィー・ジャパン副社長 竹村富士徳氏

『7つの習慣』の著者、スティーブン・コヴィー博士はタイム・マネジメント分野の発展過程は4つの世代に分けられると指摘している。「タイム・マネジメント4.0」とは、この第4世代の概念に基づいたコンテンツである。まずは全体像をつかんでいただくために、タイム・マネジメントにおける4つの世代の解説からはじめよう。

タイム・マネジメントの第1世代は「メモ」や「チェックリスト」を特徴としている。実行の予定や内容を忘れないようにメモし、整理しておくことがその狙いである。

第2世代は「カレンダー」や「スケジュール帳」によって計画を管理していくものである。一般的な日本のサラリーマンは戦後ずっと第2世代で時間を管理してきた。企業が手帳をつくり、社員や取引先に配布するのは日本だけの文化である。

これらタイム・マネジメント第1世代、第2世代には、近視眼的になりがちという問題がある。自分自身の目標や遠いビジョンを見据えながら今週が、今日がどうあるべきかを考えるという視点が欠けているのだ。

ところが、近年は仕事のとらえ方が変わってきた。まず目標を立て、それをブレークダウンし日付を入れてスケジューリングしていくというやり方が一気に普及したのである。これが第3世代のやり方である。第3世代のタイム・マネジメントとは前の2つの世代に目標の概念を加えたもので、中長期的な目標を設定し、その目標の達成に時間とエネルギーを集中させる方法をとる。

ただし、目標を掲げて手帳で管理するような第3世代に対応したツールはアメリカでは相当前から普及していて、20年以上前に出版された『7つの習慣』は当時からそれらに対する警鐘を鳴らしている。