狙った硬さとしなり具合の再現性が生命線

それまで、日本の調理器具には製菓用のゴムベラはあったものの、使ううちに硬くなりやすい難点があり、シリコーン製はあまり見かけなかった。しかし、2010~2011年にかけて、電子レンジでもオーブンでも使えるシリコーン製の蒸し器が大流行。「その頃から、お客様の認知度も上がったような売れ方をしていました」と野瀬さん。

シリコーン樹脂はシリカ鉱石を主原料として、水やエタノールなどの成分を加え、高温下で複雑な化学反応をさせるなどしてできる生ゴム。耐熱性や防水性など、求められる性能に合わせて製品を作ることができる。加工の仕方や配合で調整しやすい分、製品作りの最適解に至るまでが難しい。

先端のしなり具合が最適になるように工夫されている(左)。ケーキの生地などもすくいやすい(右)
写真提供=良品計画(左)/筆者撮影(右)
先端のしなり具合が最適になるように工夫されている(左)。ケーキの生地などもすくいやすい(右)

「目指した硬さと、最適な先端のしなり具合を再現するため、何パターンも試作品を作りました。厚みや重さも、使いやすさに関わります。品質試験を行い、さらに社内モニターで、複数人の生活者視点で使い勝手についてヒアリングするところに時間をかけました。自分にとって使いやすくても、他の人にとってはそうでもない場合がありますから。商品や部位によって求められる硬さが違うので、スパチュラは少し柔らかくしましたが、少し硬めに仕上げた製品もあります」と説明する野瀬さん。