利息5万円のはずが、わずか1万円程度
たとえば、「金利5%(3カ月物)」とあれば、それは、5%もの金利で預けることができるのは3カ月間だけということです。ですので、その預金に100万円預けた場合、3カ月後の満期時に受け取ることができる利息は1万2500円(100万円×5%×3カ月/12カ月)(税引き前)です。
100万円の5%だから5万円、というわけではありません。つまり、5%の数字はウソではありませんが(預けている間は、金利5%が適用される)、現実でもないのです(元本に対して、きっちり5%の利息がもらえるわけではない)。
ちなみに、この「金利5%とあるが、これは3カ月物である」との説明に、ごくたまにですが、「えっ、それじゃぁ、3カ月で5%も利息が付くの?」と勘違いされる方がいます。
100万円預けたら、3カ月後に5万円(税引き前)の利息が受け取れるとの勘違いですが、それはあまりにも都合良すぎる解釈で、そんなことありませんよね。繰り返しになりますが、表示されている金利は「年利」なので、それはあくまでも、「1年間預けた」ときに受け取れる利息の割合なのですから。
なお、(見かけの)高金利のカラクリとしては、他にも、「投資信託購入と同時預入のみ」「新規口座開設時の特典」「退職金限定プラン」など、対象者を限定したようなケースもありますが、それらの場合には、いまの金利水準であれば、せいぜい1%程度といったところでしょう。
5%程度もの金利となれば、やはり「預入期間は1年未満」を絡めたケースが濃厚と言えるでしょう。
パッと見た目の数字でのインパクトは、常套手段
このように、(受け取れる利息を大きく見せようと)見た目の金利を高く表示することは、昔からの、金融機関の常套手段と言ってもよいでしょう。もっとも、パッと見た目の数字でインパクトを与えようとする手法は、なにも金融機関に限った話ではありませんが。
たとえば、一般の小売店やスーパーでも、「50%キャッシュバック(但し、上限500円まで)」「80%OFF(但し、一部指定商品のみ)」などと、(諸々の条件があるものの)パッと見た目の数字でインパクトを与えようとするチラシやポスターをよく見ますよね。
もっとも、我々消費者もそこはよく心得たもので、そんな数字を真に受けることは少なく、「はいはい、条件があるんでしょ」と、わりと寛容だったりもするわけです。
しかし、それが金融機関の場合、なんだか騙されたと感じる人も多いかと思います。
それはおそらく、その(パッと見た目の数字の)カラクリを見抜くためには知識(今回のケースであれば、「金利は年利表示」であること)が必要で、その知識のない人に勘違いさせようとしているのでは、との疑念が湧くからかもしれませんね。

