再建が迫られる中でも役員報酬は高額のまま
一方、ホンダとの合併交渉でも注目された取締役会については、社員・メディア双方にとって遠い存在と映る。
経営再建中の日産自動車でも役員報酬はまだ高いままだ。2025年3月期で報酬額が1億円を超えている役員は5人いる。スティーブン・マー元CFO(現・東風汽車有限公司 取締役総裁)の報酬額は5億400万円。また、内田誠前社長など退任した幹部4人に対して、退任報酬として合計6億4600万円もの報酬が支払われた。
役員に対し高額の報酬が支払われることは、株主から不満や反発の声が上がる。また現場で奮闘する社員の士気を削り、“別世界の話”という受け止めにつながるだろう。
いずれにせよ、経営は結果が全てだ。日産の経営再建は、もはやコスト削減や工場再編だけでは達成できない。
日産が生き残る道は、国内と海外の二兎を本気で追える体制を作れるかどうか。2026年度末までの時間は、その成否を決める“最後の猶予”である。日産社員全員が将来への志をひとつにする気になるような、高い精度での経営判断がないと再起の道は難しい。


