「引き継がれたファン」が収益を支える
このように、「ドラゴンクエストウォーク」のユーザーはしっかり「ドラゴンクエスト」から引き継がれ、日常生活に浸透し、ゲームをやり込むユーザーと課金によって高収益を上げている。実際に「ドラゴンクエストウォーク」は10時間以上プレイするユーザーの割合も多く、(Sensor tower 2024年2月リリースより)、今後ともゲームビジネスとして、安定した高収益を上げながら、国内「2強」の座を守りつづけていきそうだ。
ただ、海外では「ポケモンGO」がアメリカを中心に世界で年間10億ドル級の売り上げ確保に成功しているのに対して、「ドラゴンクエストウォーク」は日本(台湾でもプレイ可能)のみ。グローバル市場でいえば、「ポケモンGO」の方が位置情報ゲーム市場を牽引しているといえるだろう。
これに関しては、仕方がない部分もある。なにぶん「ポケモン」は早くからアメリカでアニメ・ゲーム展開を仕掛けており、『ミュウツーの逆襲』『名探偵ピカチュウ』などの映画が爆発的なヒットを記録。子供のころに「ポケモン」に夢中になった世代が、いまのアメリカのアクティブ層に成長しているとあっては、海外展開に長らく苦しんだ「ドラゴンクエスト」より明らかに分が良い。
「ハードからスマートフォンへ」
ただ、「ドラゴンクエスト」自体は30年かけて海外人気を築き上げており、『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』のリメイク版も、世界中でヒットを記録している。いまPC・switchなどのハードで遊んでいるプレイヤーを、海外でもスマートフォンアプリで共有してもらうには……
スクウェア・エニックスでは、『ドラゴンクエストスマッシュグロウ』を2026年春にリリースする予定だという。日本で好まれるストーリー展開重視のRPGというよりも、若干見下ろした視点からバッサバッサと戦闘する海外好みのアクションゲームであり、どこまでスマートフォンユーザーを取り込めるか、期待がかかる。
一方で、ポケモン陣営は2024年にリリースした「Pokémon Trading Card Game Pocket」(ポケポケ)が世界中でヒットを記録し、ハードでプレイしていたファンをスマートフォン市場に取り込んだ。ポケモン・ドラゴンクエストはどちらも、この「ハードからスマートフォン」へ取り込む作業に没頭しており、位置情報ゲームでの「2強」対決は、あくまでその一部分と言えるだろう。
「ドラゴンクエストウォーク」は今後も日本を軸としつつ、スマートフォンゲーム市場を「ポケモン」「ドラゴンクエスト」という日本発のコンテンツで制圧できるか。今後のスマートフォンゲーム市場・IPゲーム市場の動きに、要注目だ。


