「1タイトルしか選ばれない」厳しい現実

そんな「位置情報ゲーム」は、一般的なスマートフォンゲームのプレイの傾向と若干違うようだ。

まず、「いくつ位置情報ゲームがあっても、プレイされるのは1タイトル」という傾向がある。1日に歩く時間は通勤・通学などに限られるため、複数の位置情報ゲームを切り替えてプレイしているとゲームが進行せず、選択肢が絞られてしまう。多くの人々は複数アプリをインストールするものの、結果として「気に入られた位置情報ゲームアプリ1個のみがアクティブに動く」状態になるのだ。

そしてもうひとつ、位置情報ゲームと通常のスマートフォンゲームとは、プレイされる時間帯で棲み分ける傾向にある。例えば、位置情報ゲーム以外の「モンスターストライク」「ウマ娘 プリティーダービー」などのピークが21時台に来るのに対して、位置情報ゲームは通勤・通学などで歩く朝8時台・夕方18時台にピークを迎え、21時台にはあまりプレイされない。いわば「移動するなら位置情報ゲーム、帰ってくつろいだら他のゲーム」といった具合に、棲み分けているのだ。

【図表2】位置情報ゲーム 各タイトルのプレイ時間比較
出典=Sensor Tower

位置情報ゲーム、勝ち組はどっちか

さて、今度は位置情報ゲーム2強「ポケモンGO」「ドラゴンクエストウォーク」を比較してみよう。ビジネスとして、どちらが「勝ち組」なのか?

実際のところ、ポケモンGOを運営している「任天堂&スコープリー(2025年に「ナイアンテック」から事業譲渡)」、ドラゴンクエストウォークを運営している「スクウェア・エニックス&コロプラ」ともに、比較できるような経営データを出しておらず、はっきりとしたことは言えない。

ただ、調査会社「Sensor Tower」のリリースでは、日本国内では「ドラゴンクエストウォーク」が3億ドル(11月13日時点のレートで約466億円)の収益を稼ぎ、2億ドル強にとどまる「ポケモンGO」を引き離している(2023年度)。

【図表3】国内での位置情報ゲームの収益(上位5位)
出典=Sensor Tower

コンテンツの世界観に基づく「IPゲーム」の2024年1~7月実績でも、2021年4月のリリース後の大ヒットで親会社「サイバーエージェント」を過去最高益に導いた実績がある「ウマ娘 プリティーダービー」を、収益で上回っており、位置情報ゲーム界隈に限らず手堅い収益力を発揮している。

これらのデータを見る限り、「ドラゴンクエストウォーク」は、国内で位置情報ゲームとして、収益力でトップを確保しているといっていいだろう。