重度だと治療費は100万円超も!
本当は怖い歯周病だが、重度になると治療にお金もかかる。Aさんは1回5万円程度の再生医療を3カ所ほど受け、ブリッジや差し歯などの費用も含めて最終的に150万円ほどかかるというから、かなりの出費である。むろん最初から罹患しないに越したことはない。それには予防が肝心。
予防の中心はなんといっても歯磨きだ。毎日丁寧にブラッシングし、フロスや歯間ブラシを使って、口腔内を清潔に保つ。それに歯科での定期的な検診が必要だ。歯科でブラッシングしても取れない歯石などを除去してもらうといい。
歯磨きのタイミングはいつが適しているかご存じだろうか。日本では一般的に「食べたら磨く」と刷り込まれているが……。
「ブラッシングで1番よいのは朝起きてすぐと夜寝る前。この2回はしっかり磨かないとダメです。食後に磨くのであれば、食べて1~2時間後がいいでしょう。プラーク・コントロールというのは歯垢の除去のことです。食べかすを取るのが目的ではないので、食後すぐは意味がありません」と星野医師はアドバイスしてくれた。これには目からウロコの人も多いのではないか。
歯周病に罹患しやすい人とは……
歯磨き習慣ひとつとっても、日本では予防意識がまだまだ低いという。歯科の分野では先進的なスウェーデンへの留学経験を持つ宮下歯科の宮下裕志医師は、次のように語る。
「スウェーデンでは予防意識は相当高く、親も子供の歯をしっかり見守り、小さな頃から予防は徹底して教育されています」
同国では歯科医が学校に常駐しているところもあるそうだ。
「スウェーデンには『土曜日のお菓子』という言葉があります。子供たちがお菓子を食べていいのは、土曜日だけという意味です。スーパーにもそういった表示がしてあるので、子供心にも自然とお菓子をたくさん食べるのは歯によくないことだとわかってくるのです」