仕事の進行をつねに妨げる同僚にどのように対処すればよいでしょう。この人物は上司にとってはなんら問題ではないのですが、チームの同輩メンバーの事実上全員と衝突しています。アシュリー・プリサント(マサチューセッツ州)


 

まさに大問題を抱えておられますね。でも、残念なことに、これは、あなたにはおそらく解決できない問題です。同僚を管理することはできません。同僚に対してはある程度の影響力は持っていても、権限は持っていないからです。ですから、この困り者にあなたが単独で対処しようとしたら、丸腰で戦うことになるということを肝に銘じてください。

この困り者を別室に連れていって話をしたり、昼食に連れ出して話をしたり、配慮の行き届いた手紙を書いたりすることは、確かにできるでしょう。でも、どのような公平なやり方をしようと、彼の反応は同じ調子でしょう。

「あなたはわかっていない」と、困り者は言うでしょう。「私は会社を救おうとしているのだ」とか、「あなたに私くらいの経験があれば、どうして私が正しいのかわかるのだが」とか、「なぜそれほど私を目の仇にするのか」などと言い返してくるでしょう。

ここで言っているのは、昔かたぎの、変化に抵抗する人のことではありません。そうした人たちの多くが、ときには気難しくて意地悪なこともありますが、間違いなく会社のことを思っています。彼らは気晴らしのために人と衝突したりはしません。説得するのに時間がかかるだけであって、彼らは誰に対してもそうなのです。もちろん、上司に対しても。

それに対して、困り者は、どんな問題についても説得したり、理屈でねじ伏せたりはできません。彼らの心の中では何か別のものが作用しているのです。言い方は悪いかもしれませんが、他人に優しくするのを阻む何かが彼らの中にあるのです。精神分析医でないかぎり、最善策はできるだけ近寄らないようにすることです。

それに劣らず重要なこととして、余計なことを口にせず、目立たないようにしていてください。上司なり人事部なりが問題に気づいて解決してくれるのを待ちましょう。あなたが会社選びを間違えていなければ、やがてしかるべき人が手を打ちます。実際の話、あなたが経営陣にある程度、敬意を払っているならば、組織を信頼すべきときがあるとすれば、それは今です。

ついでながら、このアドバイスには賛成しない人もいます。私がMITのスローン経営大学院で授業したときこの質問を受けたのですが、そのとき一部の学生は、先ほど述べた「昼食に連れ出して話をする」という方法を強く支持しました。彼らは、同僚はチームに対して、自分たち自身のまずい関係を解決する責任を負っていると考えていました。上から救いの手が差し伸べられるのを待っていてはいけないというわけです。

その考えは立派ですが、私たちの経験では、それは成功の見込みのない方法です。同僚を管理しようとすると、とりわけその同僚が協調性のない人の場合には、多くの障害にぶつかるでしょう。

(回答者ジャック&スージー・ウェルチ 翻訳=ディプロマット (c)2007. Jack and Suzy Welch. Distributed by New York Times Syndicate.)