最新の男女共同参画白書によると、専業主婦世帯が直近20年で834万世帯→398万世帯と半数以下に減った。独身研究家の荒川和久さんは「背景にあるのは、若者の価値観の変化ではない。妻がパートで稼がなければ家計が維持できないという経済環境の変化がある」という――。
喧嘩の後にお互いを無視するカップル
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「共働き夫婦が増えている」という報道は雑すぎる

「共働き夫婦が増えて専業主婦が減っている」

そんな報道をテレビ、新聞、ネット記事などでしばしば見かけます。その際に必ず引用されるのが、内閣府の男女共同参画白書で公表されている以下のデータです(図表1)。

最新の令和7年度の白書においては、妻が64歳以下の世帯対象において、共働き世帯1222万世帯に対し、専業主婦世帯は398万世帯まで減少。共働き世帯は専業主婦世帯の約3倍にもなる、というものです。

【図表1】共働き世帯数と専業主婦世帯数の推移(妻が64歳以下の世帯)

とはいえ、これは以前から繰り返しお伝えしている通り、間違いではないが正確ではありません。共働き世帯といっても、妻がフルタイム就業なのか、パート就業なのかによっても見える状況は変わります。

マスコミの論調は「産めや、働けや、納税しろや」

当然、白書では、それらを分解したデータも公表されています(図表2)。

それによれば、1222万世帯の共働き世帯のうち、フルタイム就業は527万世帯、パート就業は694万世帯です。そして、増えているのはパート就業の方で、1985年対比で約3倍増ですが、一方のフルタイム就業は同期間比14%増にすぎません。つまり、共働き夫婦が増えたといっても、パート就業が増えただけということになります。

絶対数ではなく、構成比でみても、フルタイム就業の共働き世帯の割合は1985年から40年間一貫して大体3割程度で変わりません。逆に、40年前であっても、夫婦の3割はフルタイム就業夫婦であったということになります。

【図表2】妻の就業時間別共働き等世帯数の推移(妻が64歳以下の世帯)

にもかかわらず、メディアはこのフルタイムとパートを分けた白書のデータを報じたことは、私の記憶ではほとんどなく、常にフルタイムとパートを合算した共働き世帯のデータだけを使い報じています。

共働き夫婦こそが圧倒的大多数で、専業主婦世帯は時代遅れの遺物であるかのような論調で、まるで、すべての妻は、子が生まれても就業継続して、「仕事も子育ても両立するのが当たり前」のような新たな社会的圧力に似たものを感じます。戦前の「産めや、殖やせや」の標語並みの「産めや、働けや、納税しろや」という何らかの力がうごめているのではないかと勘繰りたくもなります。