人生に行き詰まりを感じたら、どうすればいいか。福厳寺住職の大愚元勝さんは「スマホの検索は知らない世界を探訪しているようでいて、じつは自分の持っている情報や知識の周辺の狭い世界の中でうろちょろしているだけだ。スマホに関わる時間を、できればいまの半分くらいに減らし、自分がどっぷりハマっている『好きなもの』から、あえて少し離れたほうがいい」という――。

※本稿は、大愚元勝『仕事も人間関係もうまくいく離れる力』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

サラリーマンの後ろ姿
写真=iStock.com/Halfpoint
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ハイテク企業の駆使するマーケティング戦略の中身

SNSに関連して、一つ、知っておいたほうがいいことをお話ししましょう。

私たちはふだん、何気なくスマホを便利に使っています。

けれどもそれは、知らないうちに先進のテクノロジーが作為的に受信・発信する情報に取り込まれている、ということでもあります。

このことをふまえて、欲望を操作されないように注意しなくてはいけません。

どうすればいいのでしょうか。

それを知るキーワードが「HALT(ハルト)」です。

人間というのは、

H=Hungry(空腹)
A=Angry(怒り)
L=Lonely(孤独)
T=Tired(疲れ)

という四つの状況にあるときに、もっとも「買い物をしたい!」という意欲がかき立てられるそうです。

ハイテク企業はこの消費者心理を、マーケティング戦略の一つとして利用しています。「HALT」の情動が生じる“そのとき”を狙って、その人が欲しがりそうな物やサービスの広告を、スマホにガンガン送りつけるのです。

何を欲しがるかは、サイトの閲覧履歴やネット通販の購入履歴、SNS上の発言などから分析されています。

ときどき「どうして自分の欲しいものがわかるんだろう」とふしぎに思うことがありませんか? AIはそのくらい正確に、個人のニーズをつかみ、正確に予測しているのです。

消費者の感情も同じです。消費者自身がSNSを通して「お腹が減ったな」「イヤなことがあって機嫌が悪いんだよね」「ひとりぼっちでさびしいな」「今日は疲れたよ」などと発信すると、それがリアルタイムでキャッチされるのです。

このように、自分ではそのつもりがなくても、自分で入力したことが、感情に至るまでも企業のビッグデータに取り込まれている……。

そうわかると、ちょっと怖いですよね。

だからこそ、ますます「SNSから離れる力」を持つことが大事なのです。でないと、スマホに自分の情報を入力するたびに、また画面を見るたびに、チャリン、チャリンとお金を失うことになります。