婚活サービスを利用する人が増えている。一方で、相手の情報をあまり知らずに結婚して後悔する人がいる。「婚活FP」として活動するファイナンシャルプランナーの山本昌義さんは「年収1000万~1200万円の単身の45.5%が貯蓄ゼロという。言いづらい話だが、お金のことは結婚前にしっかり話し合っておくべきだ」という――。
ソファーに座って落ち込んでいる女性
写真=iStock.com/fizkes
※写真はイメージです

28歳年収400万円の女性の婚活が全滅だったワケ

原田彩乃さん(仮名、以下同)は、都内の中小企業の総務部に勤める28歳、年収400万円の女性です。彼女はロングの黒髪が似合う目鼻立ちも整った、いわゆる和風美人で、これまで良くも悪くも多くの男性から言い寄られてきたといいます。

残念ながら結婚を考えるほどの男性に出会ったことはなかったものの、それなりに毎日が充実していました。

そんな彼女も間もなく30歳。すでに周囲では結婚ラッシュも起きていましたが、この頃になってようやく本気になってきたそうです。同時に、少し仕事に対して疲労感を覚え始め、できれば結婚して専業主婦になりたいとの願望が出てきました。こうして彼女は婚活を始めたといいます。

国立社会保障・人口問題研究所の2021年『出生動向基本調査』によると、実際に専業主婦を望む女性は減少しているものの、13.8%は存在します。

【図表】調査別にみた、女性の理想・予想のライフコース
出所=国立社会保障・人口問題研究所『第16回出生動向基本調査』(2021年)

ところが婚活の厳しさは彼女の想像以上でした。ひとまず婚活アプリを始めたものの、そこには彼女以上に若くて美人な女性がごろごろいたのです。彼女に声をかけてくる多くは年収500万~600万円ほどの共働き希望の男性ばかり。幸いデートはできたので何人かに会ってみたものの、「できれば結婚したら家で夫を支えたい」と言うと全滅だったとのことでした。

交際相手は共働き希望

そこで彼女は考え、ひとまず婚活中は共働き希望にして、妊娠による体調不良を理由に退職し、専業主婦を狙うことにしたといいます。多少の罪悪感はあったそうですが、実際同僚に妊娠して専業主婦になった方がおり、これくらいなら男性は許してくれるはずと考えたのだそうです。

すると今まで以上に声をかけられることになったのですが、その中に一人、今までとは少しレベルの違う男性が現れました。

お相手は岡本拓也さん(仮名、以下同)という、大手企業の技術部に勤める31歳で、なんと年収1000万円の男性です。実際に会ってみても、彩乃さんから見て、特に容姿や立ち居振る舞いも悪くないレベルだったといいます。

ただ、そもそも彼は親や同僚に流されて婚活を始めたうえ、これまで会った女性は皆お金狙いで辟易していたと言うのです。そして、けして結婚したくないわけではないが、なるべく生活を変えたくない、負担を増やしたくないので共働きを希望しているといいます。仮にも婚活でこんなことを堂々と言うあたり、正直、自分や結婚への消極性が伺えて不満だったそうです。しかし一方で失敗続きの婚活事情や年齢への焦りから、そこは目をつむり、共働きをアピールして、どうにか彼との交際を始めることに成功しました。