サッカー日本代表チームを2度もワールドカップへと導いた名将は現在、クラブチームであるFC今治のオーナーとなり、経営者として日本全国を飛び回る日々を送る。「まる一日オフの日がない」と話す男の休み方とは──。

最終便で帰宅し始発で家を出る日々

2014年にFC今治のオーナーに就任してから、常に長距離を移動する日々です。逗子(神奈川)にある自宅と今治(愛媛)の往復に加え、講演などで地方へ毎日のように赴いています。チームのホーム戦はもちろん、昨年の途中からはアウェイ戦も観戦するようになったので、日本全国を飛び回っています。移動には飛行機も新幹線も使いますが、国内線の搭乗回数では23年に147回を記録して、お世話になっている航空会社で日本一になったと聞きました。昨年はその回数をさらに上回り、今年もすでに160回を超えているから、3連覇は間違いないです。

それほど移動が多くなっているのは、ほぼ毎週末FC今治の試合を観戦するのに加えて、今はオーナーとして会議に何本も参加しているからです。ある日の例を挙げると、東京で会食があり、終わってから最終の新幹線に飛び乗って、終点の新大阪まで向かいます。そこで1泊して、翌朝は6時過ぎの新幹線の始発で福山(広島県)まで乗車。車で迎えに来てもらって、今治に向かい、到着したらトップチームのスタッフと打ち合わせをおこなって、昼過ぎには松山あるいは広島の空港から東京に戻ります。そのまま打ち合わせや東京での人との面談、講演など。そしてまた会食で、かなりハードな移動を余儀なくされています。「移動が多くて疲れることはないか」と聞かれることもありますが、体が慣れてしまったのか、苦痛を感じることはほとんどありません。特に飛行機は搭乗時間が1時間半程度だし、空港には仕事に集中できるスペースもあるから、搭乗までの時間も有意義に活用できます。若いころは飛行機に乗ると、着陸までずっと眠っていたけれど、今は乗ってからもほとんど仕事をして、頭を働かせています。メールやLINE、Slackの確認・返信、稟議の承認など、やらなければならないことが山ほどあるので、移動時間にスマホで処理している状況です。

朝の20分間、呼吸に集中 唯一頭が空っぽになる時間

このハードなスケジュールにメリハリをつけてくれるのが、朝の習慣です。私は朝起きると、まず仏壇に線香をあげて手を合わせます。これは座禅の師匠の教えです。その後、今は膝を痛めて座禅ができないので、椅子に座って15分ほど瞑想と呼吸法をおこなっています。鼻から息を吸って、口からフーッと吐き出す。ポイントは「短く吸って、長く吐く」こと。そして「腹式呼吸」を意識することです。お腹を前に突き出すのではなく、横に広げるようなイメージで、鼻から息を吸い、口からゆっくりと吐き出す。これを10回ほど繰り返すと、不思議と頭の中が空っぽになり、すっきりします。