『あんぱん』の企画は、幼い頃にやなせ本人と交流があった中園からの提案だった(前出「BRUTUS」)。やなせに関する資料は潤沢な一方、妻・暢について明かされていたことはごくわずか。

しかし2024年、日本郵船株式会社に務めていた小松総一郎と結婚・死別していたことがニュースになり、脚本の執筆が進んでいた最中、次郎(中島歩)との展開を急遽組み込むことになったそうだ。

のぶが抱える“大きな後悔”

やなせの妻・暢を朝ドラのモデルにする難しさは、単に資料が乏しかったからだけではない。嵩と同じく、ヒロインであるのぶ自身の物語もまた、長い時間をかけてようやく一つの答えに辿り着く――いわば、超ロングシュートを届けようとしているからだ。