理論と経験の双方を高い水準で求められるこの資格は、冨田氏のキャリアそのもののようだ。

「目的は資格を取るためでも、勉強することで、実際の問題に対処できるフォーマットが自分の中にできたと思います。おかげで、尊敬する某部長に『判断が速いね』と褒められました。物事を定型化されたフレームに当てはめて考えるようにすると、誤った判断が減り、迷いがなくなる。組織の上のほうの判断ほど、そんなフレームなどないと思われがちですが、そうではない。時代背景や環境で違ってきますが、フレームは絶対ある。MBAでそれを学びました。愚直に勉強したおかげで、5年後、10年後に『あれは誤っていた』と見なされる判断はしなくなったと考えています」

12年4月からは、海外の鉄道の新分野を担当。英国・インドなどを飛び回っている。

「あのときはこうだったな、などと過去の経験や勉強を思い出す機会が増えました。MBAで学んだビジネス戦略や、台湾新幹線でいろんな人たちとやってきた経験が、ここにきて一気に生きてきたと思います。人生って、繋がってるもんですね」

●冨田氏の学びスキル3カ条

(1)睡眠時間は90分の倍数にセットする
(2)出張時の移動時間でひたすら勉強
(3)「経験、勘、度胸」&理論フレームの二刀流で

日立製作所 情報制御システム事業部 冨田浩史
1970年、山口県生まれ。92年、大阪大学工学部電気工学科卒業、同年入社。業務の傍ら、システムアナリスト、アプリケーションエンジニアといった資格を多数取得。
(小原孝博=撮影)
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