年齢を重ねるとカラダのさまざまな機能が低下する。そのうち、男性ホルモンの減少によって引き起こされるのが「男性更年期」だ。内科医の梶尚志さんは「不安感やイライラ、睡眠障害といった症状が現れ、家庭の不和につながることもある。30~40代から意識的に食習慣を整えれば、50~60代での更年期症状を予防できる可能性が高まる」という――。
寝室で泣く女性と気まずい男性
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「夫婦の間にピリピリした空気が…」

ここ最近、病院でこんな相談が増えています。

「最近、子どもにキツく当たってしまって……。以前は『学校はどう? 宿題は大丈夫か?』って話を聞くのが楽しみだったのに、先日『そんなの自分で考えろ!』って怒鳴ってしまって……」

40代後半のAさんは、診察室でそう話されました。詳しく伺うと、ここ数年で仕事の責任が増え、帰宅する頃にはクタクタの状態。「自分でも抑えがきかないときがあって、夫婦の間にピリピリした空気が漂い、子どもたちも話しかけにくくなっている。でも、どうしたらいいのか分からない」と、困り果てた様子でした。

一方、50代前半のBさんは、以前は休日になると家族でドライブや買い物を楽しんでいたそうです。ところが最近は、「体がだるくて、外に出る気がしない」とのことで、週末はソファでテレビを見ながらウトウトすることが増えたといいます。

奥様は「私ばかり家事や子どもの相手をしている」と不満を漏らされることが多くなり、Bさん自身も「良くないのは分かっているけど、つい『俺だって疲れているんだ!』と反論してしまって……」と話されていました。そのたびに空気が険悪になるのを感じているそうです。ご自身でも自分の変化を感じながらも、その理由がわからず戸惑っている様子でした。

「男性更年期」の入り口は意外に早い

「ちょっとしたことでイライラする」「以前は好きだった趣味に興味が持てない」「疲れが抜けない」「仕事に対して、やる気が出ない」「色々なことに前向きになれない」――こうした変化を「年のせいかな」と流してしまう男性は少なくありません。

ところが、その裏には「男性更年期障害(LOH症候群)」が隠れていることがあります。日本インフォメーション株式会社の調べでは、30代後半からすでに「イライラしやすい」「気分が落ち込みやすい」といった症状を感じ、“男性更年期の入り口”に差しかかっている人も少なくないことが示されています(*)

*日本インフォメーション株式会社「#73 ~理解・話題化には消極的?~男性更年期に関する調査