貯金の多寡に関わらず、人を引き寄せる人は何が違うか。医師の和田秀樹さんは「『体と脳が弱ったときのための貯金は必要ない』というのが、私が多くの高齢者を見てきた結論だ。資本主義社会では、お金を持っている人がエラいと勘違いされがちだが、実は資本主義の理論からいってもエラいのは、お金を使えば使う人である」という――。

※本稿は、和田秀樹『60歳からこそ人生の本番 永遠の若さを手に入れる恋活入門』(二見書房)の一部を再編集したものです。

たくさんのお金の前でポーズをとるビジネスマン
写真=iStock.com/masamasa3
※写真はイメージです

歳をとると、お金がない人のほうが幸福度は高い

40代、50代で1000億円を持っていれば、なにかを期待して、いろんな人が寄ってきます。起業したくてスポンサーを探している人から、なにか美味しいものをご馳走してくれるのを目当てに寄ってくる人まで、さまざまです。

しかし、70代、80代ともなれば、1000億円の財産を持っていても、ケチな人だと周囲に思われていれば、だれも寄ってきません。これが「お金持ちの孤独」です。

人が歳をとったとき、その人がなにで判断されるかというと「ケチ度」です。

お金において大事なのは、いくら持っているかではありません。「フロー(流れ)」のほうが大事なのです。

よく「お金がない」という人がいますが、貯金がなくても日々の生活のキャッシュフローがとどこおっていないのであれば、心配することはありません。キャッシュフローとは、入ってくるお金と出ていくお金の流れのことです。

将来なにが起こるかわからないから、貯金をしなければいけないと思うかもしれませんが、たとえ寝たきりや要介護状態、認知症になっても、日本ではそんなにお金はかかりません。

通常は40歳から強制的に加入させられる介護保険があるので、それに入ってさえいれば大丈夫です。

年金が基準額に足りない人は、生活保護の申請をすれば、高齢者の場合、断られることはまずありません。国民の権利として受け入れられるからです。