キレるのは別に悪いことではない
今、インテルがとても大事にしているのが、“be bold” (大胆な発想)と、“velocity”(速さ)。“be bold”は「リスクをとって前に進め」ということ。“velocity”は、「ただ速いだけではなく、ダイナミックに、川の流れのようにグワーッと一方向に向かっていけ」ということです。私たちは「動きというのは遅いものだ」という意識を持っています。だから「周りはもっと速い、だから危機感を持って速く進め」と常に自分にもスタッフにも言い聞かせています。
インテルの将来の成長は、日本から始まるのではないかと考えています。なぜなら、日本が今向き合っている財政、高齢化、少子化、エネルギーなど、さまざまな課題を解決するカギは、日本が持っているからです。ICTの役割、インテルという会社の役割を公に伝えて、スピードと自信を持って前に進むために、デマンディングになるのは当然だからです。私も必要なときにはキレることで、サインを出さなくてはならないし、スタッフにも必死でついてきてもらいたい。
キレるのは別に悪いことではないと思います。キレるとき、そこにはキレた人とキレられた人の間に、明確なギャップがある。
グローブに対して、“I'll meet your expectation.(ご期待に添えるように)”なんて言うと、「なんだそれは」とまたキレられる。自分が聞きたいのは、“I'll beat my ex pectation.(期待を打ち負かすこと)”だと。みんな歯を食いしばって、「どうやったらその期待に応えられ、さらにその期待を超えられるのか」と考え、実行する。この状況に、私自身、「慣れた」という気持ちを持ったことは一度もありません。上がり続けるバーに対峙する文化。そのバーを超えることをスタッフにも期待しています。
結論ですが、キレられたときに、なぜ相手がキレているのか、認識のギャップを理解したうえで、それを覆す成果や対応を示せば相手はあなたを認めるでしょう。キレに向き合うことは、何よりあなたの成長にもつながるはずです。
1958年、東京都生まれ。米コロラド西州立大学社会学部卒業後、インテルコーポレーション(米国本社)に入社。2003年から現職。04年から米国法人のセールス&マーケティング統括本部副社長も兼務。