私はこうした次元の違う富裕層の価値観、ライフスタイル、行動様式の研究が大きなビジネスチャンスを生む契機になると考え、09年4月、船井総合研究所に「富裕層ビジネス研究会」を立ち上げました。いわゆるお金持ちを対象とする社交クラブではなく、国内外で富裕層ビジネスを手掛ける方や志向する方、富裕層のコミュニティを持つ方々とタイアップして新しいビジネスをつくり、さらに従来のビジネスを活性化させるためのコンサルティングを提供することがこの会の主旨です。

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2.年代別ビリオネア構成比

この研究会を通じて「富裕層=ミリオネア」の中に、資産10億円を超す「超富裕層=ビリオネア」と定義しなおすべきお金持ちが存在する、と確信を持って言えるようになりました。

このビリオネアとは、どんな属性を持った人たちなのでしょうか。

私は富裕層のデータベースを持つランドスケイプ社に分析を依頼、同社が持つ約9500万人の個人情報を基に職業・居住地・その他の3項目について独自の手法で点数化し、その獲得ポイント上位の人数を集計しました。

その結果、ビリオネアは日本に2万6386人存在することがわかりました。日本の全人口のわずか0.02%ですが、その保有金融資産(預貯金・有価証券など)を合計すると、日本の年間税収に匹敵する約50兆円。約1400兆円とされる国内の個人金融資産残高の約3%に当たります。

ビリオネアの平均年齢は、72.6歳。現役を退いている可能性の高い70代が中心ということは、ほぼ全員が不動産を保有していると考えられます。これら収益性の高い不動産が、その子や孫に引き継がれていくことは容易に推測できます。相続の際に売却・分割される可能性が高いとはいえ、ビリオネアの子は、やはりビリオネアとなるのでしょう。

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3.ビリオネアの職業分布

では、ビリオネアはどんな職業に就いているのでしょうか。

1位が経営者、2位が医師。点数が高くなるにつれて、経営者兼医師・歯科医、つまり開業医が多いという顕著な傾向が見られます。

研究会の会員に、医療法人を立ち上げた歯科医の方がいますが、普段は本当に自由を謳歌した生活を送られています。高級ホテル内のクリニックで治療をしながら、都内に10以上のグループネットワークを構築。同時に、医院をより機能的な組織とし、自由に効率よくビジネスができるよう医師の方々に日々、情報発信しています。