曖昧な日本語表現が招く混乱と停滞
ただ、能力的にも語学的にも優秀なのである程度の意志疎通は可能なケースも多いようですが、それでも彼ら彼女らは決して日本語のネイティブ・スピーカーではありません。
そのため、採用後の組織コミュニケーションが重要な課題となってくるわけですが、そこで必要になるのが、日本語に不得手な外国人材でも理解でき、行動に移せるようなレベルでコミュニケーションができる「言葉の解像度を上げる」能力です。
たとえば、日本人同士であれば「来週の会議、つつがなく進めてね」「うまいことやってね」「よしなに頼むよ」などといった曖昧な言葉でも、とりあえずコミュニケーションとしては成立してしまいます。
一方、外国人材にこのような指示を出しても、相手は「???」という感じで、クエスチョンマークがいくつあっても足りないくらい全く通じません。
当然ながら「察する文化」もありませんので、このような“曖昧フレーズ”が飛び交う組織コミュニケーションでは、仕事が頻繁に停滞してしまいます。これでは、中長期的に会社に定着してもらうことも難しいでしょう。
「言葉の解像度を上げる」ための処方箋
では、外国人材を迎え入れる組織側は、どのように「言葉の解像度を上げる」能力について身につけていけばいいのでしょうか。
実はこの力、それこそ外国人材を交えてコミュニケーションする機会を積極的に増やしていった方が、むしろ鍛えやすかったりします。
にわとりが先か、たまごが先かといったタイプの話になってしまうのですが、組織的に言葉の解像度を上げたいのなら、さっさと外国人材採用に舵を切ってしまう。
「言葉の解像度を上げる」力を組織的にまず高めてから舵を切る、ではなく、もう先に外国人材を採用してしまってはどうか。そのほうが、組織のコミュニケーション能力を最短効率で底上げできるのではないか。
多くの企業のマネジメントの方々からご相談を受ける中で、これが最も現実的な処方箋だろうと私は考えるようになっています。