公共サービスがパンク
オーバーツーリズム問題は深刻だ。
静かな住宅地で夜中まで飲酒して騒ぐ、個人の敷地に無断で入り込む、写真を撮ろうと信号を無視して道路に出る、街を歩く女性にしつこく絡む、等々。
これまで無名だった場所が、SNSで紹介されたことから突如として世界的に有名な観光地になってしまい、住民の日常生活が乱されて、厳しい対策を取らざるを得なくなった例もある。
こうした被害を受けている方々は、まったくお気の毒だ。
以下では、オーバーツーリズム問題のうち、外国人旅行客による公共サービスや施設の過剰利用、不適切利用という問題を取り上げたい。
京都など外国人旅行客が集中する観光地では、道路は混んで、地元の人はバスにもタクシーにも乗れず、通勤や買い物などの移動に支障をきたしているという。
ゴミの不法投棄(ポイ捨て)も増えるので、処理が大変だ。地方自治体のゴミ処理費用も増える。
これまで地域住民の利用を想定して作られていた公共サービスが、外国人旅行者の利用増加によってパンクしているのだ。
観光地のトイレの問題も深刻だ。JR鎌倉駅近くのコンビニエンスストアでは、トイレ待ちの行列が店外まで伸び、買い物客の入店を妨げることもあるという(朝日新聞「コンビニはトイレを貸すべき? 観光地・鎌倉でマナー違反続き利用制限」2024年7月18日)。
質の悪い外国人が増えた
利用者が増えているだけでなく、マナーも極めて悪い。使い捨てカイロやカップ酒のプラスチック製のふたがトイレに流されることも度々という。
便器が詰まるたびに修理を余儀なくされ、清掃に追われて、店員が他の業務に手が回らなくなった。水道代が月約10万円にのぼったこともあったという。
「銭洗弁財天」のトイレでは「アイスキャンディーやだんごのスティックをトイレに流すと故障の原因になります」と、日本語だけではなく、韓国語や中国語も併記して注意を呼びかけている、という。
外国人旅行者数は、2013年から急激に増加しているが、2024年になってからの急激な円安で、それが加速した。1ドル=160円近くになって、外国人の目から見れば、日本への旅行は極めて安くなってしまったのだ。
現在の日本には、外国人観光客が過剰だ。数が多すぎるだけでなく、費用が安くなったために、質の悪い旅行者が増えている。右に述べたような問題を起こしているのは、質の悪い旅行者だ。