名言その4
【だから皆ゲーテになる気で精進することが必要なのだ】
芥川龍之介(小説家/1892~1927年)
ゲーテは、『若きウェルテルの悩み』などで知られるドイツの文学者・詩人。芥川龍之介が深く尊敬する人物です。これは「人間は自然の与えた能力上の制限を越えることはできぬ。そうかといって怠けていれば、その制限の所在さえ知らずにしまう。」に続く言葉です。
人間は、どうがんばっても空を飛ぶことはできないし、水の中で暮らすこともできません。そして、誰もが学問を究めたりビジネスで成功したり芸術の分野で成果を残したりできるわけでもありません。ただ、自分の能力には限界があるからといって「がんばってもたかが知れてるから」「どうせ○○には勝てないから」と怠けてしまうのは、じつにもったいない話です。
能力や環境に制限があるからこそ、高い目標や理想を掲げて、そこに少しでも近づけるように精進することが大切。「できるだけのことはやった」と思えれば、自分なりの「制限の所在」を知った上で、満足感や達成感を覚えられるでしょう。それは、ゲーテになる以上に素晴らしいことです。
名言その5
【自分は有用の材なりとの自信ほど、彼に有益なるものはあるまい】
アンドリュー・カーネギー(アメリカの実業家/1835~1919年)
日本には「謙譲の美徳」という概念があります。仕事に関しても、自分はこんなに有能だ、こんなに役に立つとアピールするより、自分なんて何もできない、自分はまだまだだと謙遜するほうが美しい態度であり、人として尊敬されるという考え方です。
たしかに、中身がないのに自慢ばっかりしている人は、評価も信用もされません。しかし、うぬぼれや過大評価ではない範囲で「自分にはできる」「自分は役に立つ」と自信を持つことは、とても大切。その気持ちは、苦しい状態を乗り越えたり困難に立ち向かったりする上で、大きな力となるでしょう。
謙遜は、時に「自分を甘やかす言い訳」になりかねません。新しいことや難しいことに挑もうとしたときに、「自分なんて」という謙虚な気持ちが足を引っ張ることもありそうです。ことさら周囲にアピールする必要はありませんが、心の中では「自分ならできる」と自分を信じましょう。たとえ勘違いでも、ヤル気がみなぎる効果は確実にあります。
「名言」は人類の叡智の集大成です。さまざまな偉人が残した言葉や、世界各地で大昔から伝わっている言葉には、強く生きるための知恵や自分を元気づける秘訣が詰まっています。生きていく上で必ず付きまとう悩みや迷いやモヤモヤは、名言に解消してもらいましょう。悲しいときや落ち込んだときは、名言に慰め励ましてもらいましょう。名言という頼もしい味方と手を取り合いながら、あなたの人生をあなたらしく胸を張って歩いて行ってください。