「コスパ」重視なら、むしろ古典を勉強したほうがいい
「学校の授業で古文や漢文などの古典を教える必要はあるか?」
「古文なんて読めたところで生活で使う機会がない。それなら社会人になっても使える知識を学んだほうがいいのでは?」
受験シーズンになると、ネット上ではこういう議論が盛り上がるそうです。
古文は文法を覚えるのが大変で、苦手だという人の気持ちはわかります。でも、私は古典の知識が不要だとは思いません。
最近の若者はコスパ(コストパフォーマンス)やタイパ(タイムパフォーマンス)に敏感といわれています。コスパやタイパを重視するなら、むしろ古典を勉強するに限るのではないかと思っています。
そもそも、人間の思考はある程度パターン化されています。『千の顔をもつ英雄』(ジョーゼフ・キャンベル著、早川書房)、『神話の力』(ジョーゼフ・キャンベル、ビル・モイヤーズ著、早川書房)といった本を読むと、世界中に伝わる英雄譚は似たようなパターンで書かれていることがわかります。
『古事記』と『ギリシャ神話』は似ている
例えば、日本の『古事記』には、次のような話があります。
実は、似たような話が、『ギリシャ神話』にもあるのです。
『ギリシャ・ローマ神話』は特に面白く、現代にも通じる比喩の宝庫といえます。一つの例を挙げましょう。