プロの間でも解凍法の正解は意見が分かれる

冷凍物もほとんどは流通過程で解凍されるため、消費者が冷凍状態のマグロを手にすることは少ない。ただ、お取り寄せ通販やふるさと納税などで冷凍マグロをサクごと買ってみる機会はあるだろう。そうした際、どう解凍すれば失敗なくおいしく食べられるか、ご存じだろうか。

マグロの解凍法については、魚のプロたちの間でもいくつかの方法が挙げられている。冷蔵庫に移して長時間かけてゆっくり解凍したり、ジップロックに入れて温水に浸したり、塩を加えた温塩水に入れたり、中にはサクの小さい断面を下にして立てておくといった方法を挙げる料理店関係者もいる。

共通していることといえば、まずさっと水洗いして、よく水分を拭き取ることから始めるくらいだろうか。ネットでもさまざまな解凍法が紹介されているため、一体どうやったらよいかと迷った挙げ句、最終的に解凍に失敗し「おいしくない」となってしまった残念な経験がある人もいるだろう。

解凍方法を失敗すると高級マグロが台無しに

少なくとも、早く食べたいからといって、特に夏場に常温で自然解凍すると大失敗につながるので注意が必要だ。身が縮んで食感が悪くなるどころか、マグロとは思えない食べものに変わってしまう。解凍時に流れ出る赤いドリップが、再びマグロの身に触れて吸収してしまうのもいただけない。

筆者は一度、すぐに食べたいと思い、冷凍庫に寝かせていた冷凍マグロを取り出して、自然解凍ではないが、ぬるま湯に浸して失敗したことがある。平らなサクが緩いカーブを描いてギュッと曲がり、本来しっとりしているはずの身はカサカサとした舌触りで、食べられたものではなかった。

決して安くはない冷凍メバチマグロだっただけに、少しカットして比較的柔らかい部分だけを食べようとしたが、まずいことに変わりなく、あえなく廃棄処分するしかなかったのだ。

筆者提供
築地場外市場で売られている冷凍本マグロのサク