――11月稼働を目指しベトナムにも工場進出するが、狙いは。
上海など中国工場が手狭になったためだ。サムスンがコピー機に参入するなど、競争は激化している。コスト競争力を高める一方で、コモディティー(日用品)化しない開発は求められている。省エネをはじめとする環境技術では、我々はライバルを大きくリードしている。ダントツの環境技術を搭載するのは、当社製品の特徴でもある。国内では最先端部品や環境に優しいトナーなど、高付加価値のものをつくり続けていく。
――リーマンショック以降、自動車などがアジアに工場進出したり、現地生産を強化する動きが急だ。
国内だけで営業をするのでなく、海外でも日本人が営業する形に変わってきた。例えば自動車ならば、部品メーカーも一緒に出ているわけで、みな当社のお客様だ。3年前に地域の販社社員に「海外で営業するべき」と言ったとき、販社はみな驚いていた。しかし、いまは当社と販社を合わせて100人以上は出ている。富士ゼロックス神奈川からフィリピンに赴任している若手営業マンは、現地で少年バスケットチームを結成。子供たちにバスケを教え地域に溶け込んでいる。彼は英語とタガログ語を覚えた。
――海外赴任する条件に、英語など語学力はあるのか。
まったく関係ない。大切なのは情熱。例えば、ベトナム現地法人に日本人営業マンが加われば、日系企業を攻略できる。同時に、ベトナム人プロパーを日本人は一流に育成しなければならない。富士ゼロックス群馬の社員なら、いままでは群馬でだけ働いていた。だが、グローバル化を迎えたいま、日本人の働き方が変わってきたのだ。
1945年、神奈川県生まれ。山梨大学工学部卒。68年富士ゼロックス入社。94年取締役、96年常務。98年鈴鹿富士ゼロックス社長。2002年富士ゼロックス専務執行役員。07年6月より現職、富士フイルムHD取締役。ヨット、釣り、音楽鑑賞など多趣味。