常に結果を残す人が持つ「再現性」のロジック

【澤円】片石さんのモットーは、「好きなことを、好きな人と、好きなだけやる」だそうですね。この行動指針も創造力の源泉であり、イノベーティブ思考にもつながっているのではないかと感じます。創造力を解放していくために、片石さんはどのようなことを意識していますか?

【片石貴展】そこでも、インプットの重要性は変わりません。加えて、もうひとつ挙げるなら、自分や自社がブレークスルーしたときの「再現性」の確率を高めることですかね。個人であれば、「どんなときにいいアイデアが生まれ、いい意志決定ができたのか」を把握し、繰り返せるようにしておくということです。

それは本を読んでいるときなのか、ぼんやり音楽を聴いているときなのか。あるいは、誰かに会って話をしているときなのか。もし人と会っているときであれば、自分と考えや価値観が似ている人なのか、むしろ自分とは真逆の考えを持つ人のほうが思考は研ぎ澄まされるのか――。

このように注意深く振り返っていくと、そこに必ず自分特有のロジックがあるものです。それを掴んでおくと、成功の「再現性」を高めることができると思います。

いわば、自己理解ですね。「わたしはこれをやればいいアイデアを生み出せる」「いい意思決定ができる」という、自分なりのパターンを掴んでおくことをおすすめします。

写真=石塚雅人

「人と話しているときにアイデアを思いつく」というパターン

【澤円】質のいいアウトプットにつながりやすい、効果的なインプットの方法を知っておくということですね。ちなみに、片石さんはどのようなときにいいアウトプットができますか?

【片石貴展】人と会って話しているときに、創造的なアイデアを思いつくきっかけになることが多いかもしれません。そのため基本的に、あまり自分ひとりだけで考えないように心掛けています。

もう少し自己理解を進めると、おそらく「人にほめられたい」という根本的な欲求が強めにあるのだと思います。人と話しているとき、「なにか面白いことを言って笑わせたいな」なんて思うこともよくありますから。

そうすると、自分ひとりで考えているときよりも、アウトプットで目指すゴールが高くなっていきます。当然、ゴールに向かうプロセスの質も自然と高まります。だから、人と話しているときにいい発想を思いつきやすいのだと自己分析しています。