およそ、あらゆる教育は、時の政治を担う権力者の意向と離れて、真空状態で実施されるものではない。身分固定の封建社会であった江戸期、富国強兵によって大国化への道を歩んだ明治時代、無残で悲劇的な敗戦に至る昭和初期。そして敗戦後、民主主義教育が米国による日本の軍事的な無力化と並行する形で始まった。数百年の日本の歴史を振り返るだけで、教育の形や中身は、その時々の国の要求に沿ったものであることが理解できる。
軍事的な統治を基本に、身分固定制度が徹底していた江戸期は、学問を修めたとしても、それが立身出世の道につながるわけでもなかった。せいぜいが教諭のかたわら著述を業として、小宅で生涯を終える程度だった。経済的な利益、社会的な権勢は望むべくもなかったが、江戸期は学問が盛んで、次々と私塾が生まれている。
本書では、江戸期に盛んだった読書会の歴史を軸に、私塾と藩校の生い立ちから明治に至るまでの変遷を、江戸期の学問の実態に即して論じている。
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