初のマクロ経済政策に期待していたが…
自民党は消費税増税を決めた3党合意の当事者なので同じように失望されてもおかしくありませんでしたが、第二次安倍政権は消費税増税に対して懐疑的なメッセージを発信していたので、この政権ならば消費税増税を回避して経済を浮揚してくれるのではないか? という期待感がありました。
マクロ経済政策を打ち出して景気回復を訴える姿は今までの各政権にはなかったものでした。それまでは、どこどこに予算をつけるというタイプのものか、どこどこの予算を切り詰めます、改革しますという、ミクロな政策を大きく見せるタイプが主流。2009年に民主党が政権を奪取した時のマニュフェストの1つにガソリン税の暫定税率の廃止減税を掲げ、「ガソリン値下げ隊」がメディアで大きく報じられていたのは記憶に残るところです。
対照的にアベノミクスは大規模な金融緩和と機動的な財政出動、そして民間投資を喚起する成長戦略の三本の矢によって物価を上昇させて失業率を下げ、経済の好循環に繫げていくというマクロ経済政策の道筋を示しました。何度も言いますが、この経済政策への期待感こそが当時の若年層が安倍政権を支持した原動力であったと今も私は思っています。
特に、アベノミクスの初期は期待とともに経済も着実に上向いていました。しかし、3党合意によって予定されていた消費税の5%から8%への増税で雲行きが怪しくなり、それ以降はジワジワと成長したものの当初想定していた2年で結果を出すというところには到底及びませんでした。
ようやく手を差し伸べられたのは2019年
その後、2度の延期を経て消費税を8%から10%へ増税。経済が落ち込んでいたところにコロナ禍がやってきて、世界経済全体が大きく落ち込み、すべてがリセットされたかのようになりました。
就職氷河期世代はずっと「自己責任」の名の下に政策的な手当を受けられずに来ました。個別に生活保護などの福祉を受けることはできましたが、この世代が社会に出るにあたって被った不利を再就職やスキルアップで支援する政策パッケージが打ち出されたのは、2019年になってからでした。
スキルアップのための教育を受けるのに補助を出したり、試用で雇用する企業に対して補助金を出す、あるいは公的セクターで氷河期世代に絞った職員募集をするなどを3年間の重点期間を設けて集中的に行うというものでした。
当時、氷河期世代は30代半ばから40代。安倍官邸の幹部と、このまま氷河期世代を放置すると大量の無年金・無保険者が出かねない。今でも遅いぐらいだが、対策した方がいいといったことを議論していたのを思い出します。