伸び悩むヨーロッパBEV市場

タクシーだけでなく、最近多く報道されているようにヨーロッパのBEV市場は伸び悩んでいる。

フランスはドイツほど鮮明にBEVへの逆風は吹いておらず、BEVシェアの明確な低下傾向はないものの、2022年以降BEVシェアは15~20%程度の間で推移しており、増加の兆しは見えていない。

同様に、プラグインハイブリッド車(PHEV)のシェアもほとんど増えておらず10%未満にとどまっている。

価格が依然として高価なこと、自宅で充電できる人が限られること、急速充電スタンド整備がなかなか進まないことがBEVの普及がある一定以上進まない理由である。

写真=iStock.com/Mykola Pokhodzhay
※写真はイメージです

急速充電スタンドの普及が進まない現実

特に急速充電スタンドは電気代に設備の設置・維持費用と業者の利益を乗せざるを得ないため、充電コストは家庭用の電気代より遥かに高くなってしまうという問題がある。そうである以上、BEVユーザーは極力自宅外での急速充電スタンドは使わないようにするため、需要が広がらないのである。

急速充電スタンドでの充電費用がかさむなら、自宅で充電できない人のBEV購入メリットはほとんどない。

Chargemap.comというサイトの情報によれば、現在パリには2833カ所の充電スタンドがあるが、ほとんどが7kW以下の普通充電器で、43kW以上の急速充電スタンドはたった75カ所しかないのである。

GoGoEVというサイトによれば、東京都には現在40kW以上の急速充電器が556カ所あるので、東京と比べてもかなり見劣りのする数である。