その国の経済成長率<その国の株式インデックスの成長率

この差は何かというと、本質的にはその国の経済成長が高いか低いかが関係してきます。日本の大企業の成長は日本経済の成長に関係しますし、アメリカの大企業の成長はアメリカ経済の成長に連動します。日本経済は30年間成長できなかったうちに、いつのまにかひとりあたりGDPでG7の他の先進国とは倍近い格差が生まれています。最近では韓国や台湾がひとりあたりGDPではわが国を追い抜く勢いです。

ちなみに国の経済成長と株価の成長の関係をもう少し正確に言いますと、「その国の経済成長率<その国の株式インデックスの成長率」という形で、株式インデックスはGDPの成長を上回る傾向があります。

この理由を簡単に説明すれば、大企業の方が中小企業や零細企業・個人事業主を加えたその国の産業全体よりも儲かっているということです。ですから日本株のTOPIX連動の投資信託も1年弱で10%も儲かるのですが、それよりも全世界の経済成長と相関するオルカンは23%、絶好調のアメリカ経済に連動するS&P500は27%とより収益が高いのです。

ちなみにオルカンには日本株だけでなく中国株も組み込まれています。今、中国経済には暗雲が漂い始めていて、その意味で、オルカンではなく米国株のS&P500連動型の投資信託のほうが「ある意味リスクが少ない」と考える人も多いのです。

AIバブルへの懸念、為替レートへの懸念

4 今から始めても、去年や今年のように儲かるの?

さて、ここまでの話を聞いて、遅れて株式投資に興味を持ち始めた方も、

「自分もやってみようかな」

という気持ちになったかもしれません。

それで周囲にアドバイスを求めてみると2つのタイプの、

「やめたほうがいいかもしれないよ」

という意見を耳にすると思います。

ひとつは今、世界の経済がAIブームで加熱しすぎていてこの先いつAIバブルが弾けるかわからないという意見。そしてもうひとつが今、日米の金利差のおかげで円安が進んでいるけれどもいずれ金利差がなくなって元の円高水準に戻るという意見です。

ひとつめの株式市場が過熱しているというのは先ほどのS&P500連動型投信の利益の大きさからわかります。100万円投資した利益が1年で27万円、2年で79万円です。長い歴史でみれば株式の収益率は年利で10~12%あたりが適切だと言われますから確かに上がりすぎです。