罪深い地元不倫

SNSの反応を見ると当然「がっかりした」といった批判の声は多いものの、辞任要求は少ないように見える。「迅速な対応に好感」「不倫は家庭の問題」「責める権利があるのは奥さんだけ」「続投して『手取りを増やす』を実現してほしい」などと容認する声が多く、中には「財務省の陰謀」「自民党のハニートラップ」などと発信する人も存在し、ネットに親和性のある若い世代の玉木氏人気を改めて実感した。

筆者は今回に限らず「不倫は犯罪ではない」「政治家は政策で結果を出せば良い」と考える一人であるが、玉木氏のケースでは「香川の女と地元不倫」と報じられている点で罪深いと思う。

なぜ、そう言えるのか。

かつて発覚した「育休不倫」の宮崎謙介氏、「パパ活不倫」の宮澤博行氏、「赤ベンツ不倫」の広瀬めぐみ氏(いずれも当時、自民党議員)など、最近の政治家の不倫報道はあとを絶たないが、典型的な国会議員の不倫は「地方の選挙区に妻子などを残し、東京に単身赴任している隙に、東京の女子とお楽しみ」パターンが多い。

今回の報道にあったJRホテルクレメント高松は、高松駅近辺では最も格式のあるシティホテルで、会合や人の出入りが多く人目に付きやすい。地元国会議員やグラドルなら、なおさらだろう。玉木事務所も折にふれこのホテルで会合を開くことが多く(写真参照)、ホームグラウンドと言えるような場所である。

議員活動15周年パーティーのポスター(国民民主党 香川県総支部連合会HPより) 

相手の女性も「高松市観光大使」ということで玉木事務所にも出入りしており、玉木夫人とも面識があったことが記者会見で明らかになっている。「香川の女と地元で密会」という報道を読んで、「奥さんの友人と自宅で不倫」のような後味の悪さを感じた香川県民は少なくないだろう。

政治家にとって選挙区は聖域である。婚外恋愛がやめられないならば、せめて「香川県内では逢わない」「事務所には出入りさせない」といった最低限の節度と矜持を持つべきだった。

今年4月の衆議院東京15区補欠選挙で国民民主党の公認候補として内定して玉木氏と共に各種メディアに登場し、その後に内定が取り消された元ミス慶應の女性が、9月に自殺する騒動があった。

渦中の観光大使も、玉木氏が「ウチの党から出馬しませんか」と口説くうちに壁の外に堕ちたのだろうか。もし、関係が明るみにならなければ、次の参院選あたりに同党の比例代表に出馬させるつもりだったのか……と考えるのは邪推が過ぎるだろうか。