日本の基準は“違法”レベルで緩い

日本の6地域というのは、省エネ地域区分における東京・横浜・名古屋・大阪・福岡などの人口が集中する温暖な地域です。6地域の日本の省エネ基準は、図にある通り、0.87[W/m2・K]です。

それに対して、同じ気候区分の他の国の基準値は、韓国は0.54、スペインは0.51、米国カルフォルニア州は0.42、イタリアは0.40です。同じくらいの寒さの他の国・エリアに比べて、日本の断熱性能基準が圧倒的に緩いことがおわかりいただけると思います。

日本の基準は非常に緩いだけではありません。多くの他の国々では、以前から新築時にこの断熱性能への適合が義務化されています。それに対して、日本では、0.87という極めて緩い基準への適合が現時点では義務化されていません。やっと2025年4月から建築物省エネ法の改正により省エネ基準への適合が義務化されます。

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また、日本のZEH基準のZEHとは、Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略で、現在の日本では、省エネ住宅として補助金の交付対象になる高断熱住宅に位置付けられている基準です。

ところが、図表1を見ていただければわかるとおり、国際的にみて、他国の義務基準にも満たないレベルですから、高断熱と言える断熱レベルではないのです。このように断熱性能に関する基準が諸外国に比べて、極めて緩い基準にとどまっています。

気密性能の取り組みはさらにお粗末

ちなみに、省エネ基準レベルの断熱性能は、断熱等級4で、2022年までは最高等級でしたが、この年に一気に断熱等級5、6、7と上位等級が3つも設定されました。高断熱住宅について明確な定義はありませんが、専門家の間では、断熱等級6以上が高断熱住宅と言われています。

気密性能についての取り組みは、さらに諸外国に比べてお粗末な状況です。図のように諸外国では、気密性能に関する厳しい基準が定められています。気密性能は、C値という値で示され、値が小さいほど高気密であることを意味します。

おおむね、C値1.0以下であれば、まあまあ高気密といっていいかと思います。諸外国では、例えば、ドイツではC値0.3以下、ベルギーでは0.4以下というようにかなり厳しい基準が定められています。