「養育費未払い」に苦しむひとり親家庭

シングルマザーの家庭を苦しめているもうひとつの要因が「養育費の不払い」です。母子家庭が、離婚した父親から養育費を受け取っている割合は、わずか28%。7割以上が養育費を受け取っていません。

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養育費が支払われない場合、裁判所に申し出て先方に催促する必要があるため、精神的負担も非常に大きく、また、養育費の支払いが止まり、離婚相手が音信不通になったケースにおいても、裁判所とのやり取りには膨大な手間と時間と費用を費やすことになります。

「日本では不払いの養育費はひとり親の努力によって回収することが推奨されますが、たとえばアメリカでは養育費を定期的に取り立てて回収する公的機関があります。支払わない場合には運転免許証を停止したり、パスポート発行を止めたり、あるいは刑務所に収監する国もあります」と赤石さんは解説します。

養育費は私的な契約だから関与しない、という国の姿勢を改めなければ、子どもに本来支払われるべきだったお金が行き渡ることは困難です。政府は2031年までに養育費の受け取りを40パーセントに引き上げる目標を掲げていますが、抜本的な改善策は明示されておらず、赤石さんは「はたして支払い率は本当に上がるのか? と正直思ってしまいます」と疑問視しています。

養育費を立て替える新規事業をさいたま市がスタート!

父親の養育費の“逃げ得”を社会が、国が許しているとも言える状況のなか、動き出した自治体があります。埼玉県さいたま市では、2024年5月下旬に「ひとり親家庭が受け取れていない養育費を“立て替える事業”」をスタートさせました。

この事業は、養育費が支払われないときに、支払い義務者に対して市が働きかけをおこない、それでも支払われない場合に市が立て替え払いをしたうえで、相手に督促をするというものです。最大3カ月分、子ども1人につき上限月額5万円を立て替えます。

東京都では、養育費を取り決める公正証書を作るためのお金を補助したり、養育費の支払いについて保証会社を入れた場合に、その保証金を補助するというような間接的な補助をおこなっていますが、さいたま市は養育費の支払いの正常化に向けて、さらに踏み込んだ事業を開始。兵庫県明石市が先行事例として養育費の立て替えをおこなっていることを参考にして制度を設計しました。

村田アナウンサーは「養育費を受け取っている世帯と受け取っていない世帯とでは、子どもに使える額に大きな差があることを、多くのひとり親家庭への取材を通して実感しました。いま、この瞬間にも子供は育っています。子育て世帯の貧困の解消も、養育費を支払う社会的システムも、政府には緊急性を持って取り組んでいただきたいです」と最後に呼びかけました。

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