物価高の中、自身の食事すら我慢
厚生労働省の2022年の調査によると、日本のひとり親世帯の貧困率は44.5パーセント。半分近くが貧困に直面しています。これは、OECD加盟国36カ国のなかで、韓国やコスタリカに次いでワースト5位です。これに追い打ちをかけているのが、ここ数年の急激な物価高です。生きていくために欠かせない米の値段も高くなり、8月の米の価格は49年ぶりの高い上昇率を記録し、貧困家庭の家計を直撃しています。
今回は、ひとり親家庭の貧困のリアルな現状と、村田睦アナウンサーが取材を通して大きな問題だと感じた「養育費の不払い」問題について、ゲストにNPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事長の赤石千衣子さんをお招きして一緒に考えました。
まずは、小学生と中学生の2人の子どもを育てる都内在住40代シングルマザーのAさんからお話を伺いました。
米の価格高騰が家計を圧迫するなか「児童扶養手当や東京都の育成手当がないと生活が成り立たない。パートの給料はすべて家賃と光熱費に消え、手当をもらって初めて食費に回せる」と話すAさん。子どもにはたくさん食べさせたいと自身の食事を我慢することもあるため、Aさんはこの夏、パート先の健康診断で鉄分などの栄養不足を指摘されたと言います。
上の子が中学生になった今年は、教育への心配も増しています。自治体の補助があっても補助額が、塾代を大きく下回るため、どんなに頑張っても塾代を捻出することができず、両親共働きとの格差を痛感しているそう。「低所得の人の教育費を手厚くすれば、将来的に税金を収める人が増えるんじゃないかなと私は考えています。もうちょっと国に頑張ってほしいと思います」と窮状を訴えました。
Aさんが指摘する教育の格差について、赤石さんから詳細を伺ってみると、近年、高等教育の支援は進んできたものの、ひとり親家庭の子どもの大学進学率は約6割と、全体の大学進学率である約8割と大きな開きがあると言います。