手放しで信用できない国の3つの前科
1 いつまで続くかわからない
今回の改正で、支給対象や金額が拡大され、子育て世帯にとってはありがたい制度に変わったように思います。ただし、手放しでは喜べないものだと思っています。児童手当の歴史を過去にさかのぼり、2010年に子ども手当が創設された際のことを思い出してみましょう。
子ども手当では所得制限を撤廃し、子ども1人あたり月2万6000円を支給するという民主党政権の大盤振る舞いの予定でした。2万6000円の支給に先駆けて、2010年に38万円の年少扶養控除が廃止され、所得制限なしの月1万3000円の支給が開始されました。
しかし、当初2011年から予定していた月2万6000円の給付については財源の不足から結局実現せず、その後、2012年には自民党安倍政権になって、再び所得制限が設けられてしまいました。にもかかわらず、年少扶養控除は復活していません。さらに2022年には所得上限以上の世帯については支給停止となっています。
私は2009年に第1子、2010年に第2子を出産し、今は6人の子どもがいます。私が子育てを始めてからの15年の間にここまで子育て支援の方向性がコロコロ変わることに驚きました。今回も児童手当拡充の議論が始まったのは所得上限が設けられた直後だったので、決定後も本当に支給開始されるのか信じられませんでしたが、なんとかスタートしたようです。ただし、今後もこのような手厚い支援がずっと続くのかは疑わしいと思っています。
2 増税の可能性
2010年には年少扶養控除がなくなったことで、結局増税されることになりました。また、今回も2026年からは高校生年代(16歳~18歳)の扶養控除は縮小予定です。児童手当支給額以上の増税となるケースはまれですが、児童手当の支給額分がまるまる可処分所得として増えるわけではないということを知っておかないといけません。
3 社会保険料増額の可能性
また、知らない間に社会保険料の増額で結局手取りが減るということもあり得ます。今回も社会保険料の増額で一人500円、1000円負担増という話もありました。また、この10月からは社会保険の加入義務適用が拡大しています。消費税が上がるときには大騒ぎをするのですが、なぜか社会保険料は、上がってもあまり世間で騒がれない印象です。