ちょっとした間違いが命取りになる

飛行体が領空から遠方にいるときは、まずは監視です。他国の飛行体の意図、企図、計画などはわかりません。飛行体の近くまで接近し、直接目で見ることでわかることもありますが、ほとんどは想像の範疇です。つまり、相手が何を考えているのか、まったくわからないまま飛ぶわけです。

そういったなかでの対処は、ちょっとした間違い、勘違いが命取りとなるため、きわめて慎重に行なう必要があります。あのヒリヒリとした緊張感は、他の何物にも代えることができません。

防衛省のホームページには、スクランブル発進の状況を報告しているページがあり、中国やロシアの戦闘機や爆撃機の写真が掲載されています。どんな航空機が飛んできているのか、ぜひ見てみてください。

前川宗『元イーグルドライバーが語る F-15戦闘機 操縦席のリアル』(河出書房新社)

このように、日本の領空を侵犯する意思の有無にかかわらず、領空に近づいてくる彼我ひが不明機に対してすべて対処します。

状況によっては、機体信号や無線を使用することもあります。当然、日本語で話したところで伝わりません。英語、ロシア語、中国語など必要な言葉、フレーズを頭に叩きこんだことを覚えています。

戦闘機を操縦しつつ、国際法や憲法など、ありとあらゆるルールにのっとりながら、オーダーのもと最善の対処をする。こういったなかで慣れない言語を使うのは簡単ではなく、想像以上の時間と努力が必要になります。

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