「3割」の意味
ぎょうざの満洲の活動と向き合うと、「3割」という数字がよく出てくる。多くの人が突っ込みたくなるのが、「3割うまい‼」のフレーズだろう。
マスコットキャラクターの「ランちゃん」が語る「3割うまい‼」は何を指しているのか。
「もともと〈うまい、安い、元気〉が合言葉で、そうすれば『おいしさ3割増』という意識で営業してきました。ほかにも、3割には、原材料費、人件費、その他経費が3割ずつ、残りの1割が利益になることを目指すという意味もあります。お客さまに長くご利用いただけるように、利益を高品質な商品の提供に還元し、バランスのとれた経営をするという意味を込めています」
ぎょうざの満洲は、飲食業なのに1日8時間で週休2日ということでも知られている。売り上げをむやみに増やすことよりも、まずは従業員と味を守ることに強い意識が見える。そうした経営を続けるのは、池野谷社長の強い思いがある。
話を伺うに、社長にとって、会社は家族、もちろん従業員も家族、さらに言えば、そこに集まってくるお客も家族なのだろう。だから、従業員の働き方に気を配るし、お客の健康も気遣う。
2019年に稼働した本社工場(川越市)の敷地内には今年、創業者の金子梅吉氏の立像が建立された。その像の手も誇らしげに「3」を示していた。後編ではその父からバトンを受け継いだ池野谷社長の取り組みを深掘りしていく。(後編に続く)