王者マクドナルドをしのぐ影響力をもつバーガーチェーン
さまざまなブランドが林立する外食チェーン。国内店舗数が最も多いのは「マクドナルド」で約3000店(2988店=2024年12月現在)だ。同社が日本に上陸したのが1971年。すでに半世紀以上の歴史を刻み、全国各地で見かける「M」のロゴ(ゴールデンアーチというそうだ)は見慣れた光景だろう。
そのマクドナルドの1割弱の店舗数(264店=2025年1月30日時点)ながら、現在人気を博しているのが「バーガーキング」だ。
2019年5月には77店まで落ち込んだが、ここにきて急拡大を続けている。SNSでは、王者マックをこっそりいじった看板やポスターが拡散したり、独特なイベントを開催するなど、味や店舗数拡大以外にも注目を集める。
競合チェーンも多い中、どうやって存在感を高めてきたのか。運営するビーケージャパンホールディングス(本社:東京都千代田区)の野村一裕社長に聞いた。
「業績は絶好調です」
まずはバーガーキングの最近の業績とトピックスを聞いてみた。
「業績は絶好調です。たとえば既存店売り上げの前年比を見ると、2023年は2022年比で2ケタ増で、客数、客単価ともにプラス。2024年はさらに伸長して2023年比で15%超、客数は大幅増、客単価伸びています」(野村氏、以下同)
マクドナルドは、23年(1月~12月)の既存店売上高が前年同期比で7.0%、客数の伸び率は-1.5%。24年(1月~12月)では、既存店売上高が5.1%の増加、客数の伸び率は2.5%となっている。この数値においてはマクドナルドを超える実績をたたき出している。(出典:日本マクドナルドホールディングス株式会社【月次 IRニュース】 2024年12月より)
取材日の前日には「バーガーキング 稲葉バイパス店」(長野県長野市)がオープンしていた。初日の状況については、
「長野県初の常設店としてオープンしました。ありがたいことに営業開始前から行列ができて、初日の売り上げは160万円超でした。1000名を超えるお客さまにご来店いただいたことになります」と説明する。
座席数は五十数席なのでテイクアウトするお客さんも多かっただろう。このほか、最近オープンした「そよら鈴鹿白子店」(三重県鈴鹿市、2024年9月4日オープン)や「西尾シャオ店」(愛知県西尾市、同11月21日)の開業初日も同程度の売り上げを記録しているという。
「若い世代を中心にブランドの認知度が高まっているのを感じます。女性のお客さまも増えました。2024年に投入したCMでも女性客を意識した訴求を行っています」
そのCMは、夜中、仕事終わりとおぼしき会社員の女性(演者は俳優の内海誠子さん)が「肉食べたーい」とつぶやき、バーガーキングを訪れる様子が描かれる。キャッチコピーは「肉だ。直火だ。食事だ」。バーガーキングのバーガーの特徴を端的に示していた。