なぜ石破首相はここまで変わってしまったのか

公明党も7議席減の25議席。自公合計は244議席となり、国会運営上の安定多数(244議席)をやっと確保できるぐらいだと読む。逆に立憲民主党は131議席と大きく議席を増やすと見ている。

週刊ポスト(10月18・25日号)の予測はもっとシビアである。政治ジャーナリストの野上忠興氏と編集部で当落を予想している。

野党協力や候補者調整ができなくても、自民党は「53議席減」の202議席になるという。その理由は、自民党支持層が自民離れを起こしているからだと見ている。さらに野党の選挙協力がなされ、自民党への対立候補が一本化されれば自民惨敗だというのだ。

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さて、党内野党、一言居士といわれていた石破首相がなぜ“変節漢”と呼ばれるようになってしまったのだろうかを考えてみたい。

私は2020年4月に月刊誌『エルネオス』で石破氏にインタビューしている。新型コロナウイルスが蔓延し始めた頃だったが、議員会館の自室で石破氏は、嫌な質問にも話をそらさず、2時間近くも熱く語ってくれた。

当時は一強といわれた安倍晋三政権時代だったが、ダイヤモンド・プリンセス号で多くの乗客がコロナに感染し、水際作戦も失敗するなど、日本政府の対応への批判の声が高まってきていた。その後、「アベノマスク」と揶揄される全家庭へのマスク2枚配布が発表されたが、これも不評だった。

「深く納得する、そこが欠けている」

この一連の政府の新型コロナウイルス感染防止対策について石破氏は、

「一世帯にマスク二枚というところから始まって、一世帯三〇万円から、お一人様一〇万円に変わっていった。あるいは総理ご自身の渾身の力作だとは思うが、自宅で犬を抱いてお茶を飲む動画も、奥様が宇佐神宮にご参拝になったのも、都内の高級レストランで桜をバックにお食事をなさったことにも、『あれ?』と思った人はいたでしょうね。

マスクはないよりあったほうがいい。本当に困った人に三〇万円いくならそれでもよいとは思いますが、優先順位が違うんじゃないかということだと思うんです。

どれもこれも一〇〇%間違っているわけじゃない。ただその優先順位としてはどうだったんだろうね? ということだと思う。やっぱり国民の皆様が、私、国民がって言い切るのはあまり好きじゃないので国民の皆様がという言い方をしますが、そうだよねって深く納得する、そこが欠けているんだろうと思います。説明能力というのかしらね」