物価高騰への危機感が感じられない
【堤】2023年に小麦や燃料などいろんなものの価格が一気に高騰し、全国各地で悲鳴が上がっていたのに、政治の反応は鈍いというか、焦りを感じなかったんですよね。
いわゆる農水族議員の先生方からも、今一つ「声」が聞こえてこなくて……。
【藤井】永田町にはそういう危機感はまったくありません。脳死してるんでしょうね。
【堤】脳死!
【藤井】永田町の人たちはゾンビみたいなものです。生きているように見えますが、実際には死んでいるに等しい。
僕は内閣参与として6年間永田町にいましたが、「うわ、こいつ脳死してはるわ」と思うことがしばしばありました。
挨拶したり、お酒飲んだり、笑ったりしていますけど、感情が伴っていない。キョロキョロとリスみたいに上の様子をうかがっているだけ。「日本のためにこういうことをしたい」という意志や、「今こういうことをしなければならない」という使命感を持っているようにまるで見えない。「ロボットちゃうか」と思っていたくらいです(笑)。
【堤】絶対背中に銀のボタンがついてますよ(笑)。
売国奴かと思うような輩がたくさんいる
【藤井】官僚にせよ政治家にせよ、売国奴かと思うような輩がたくさんいます。TPPやEPAなどの外交交渉を見ても、日本の農業が衰退すると分かっていながら、あらゆる農作物の関税を引き下げ、輸入規制を撤廃して自由化し続けたのです。
その見返りに自動車の関税を数パーセント、下げさせてくれと願い出ている。これは文字通りの売国行為です。
【堤】実際、政府が当てにならないので、地方の中には、生き延びるために創意工夫をこらした取組みが始まっています。
日本の農業と食料安全保障を守るために「タネの自給率」は不可欠ですから、私の夫(川田龍平議員)が超党派の議員立法で成立を目指しているのが、「ローカルフード法案」です。
食料安全保障の基礎となる地域の在来種の種を「公共資産」と位置付け、公費を投入し守っていく。これをベースに、47都道府県で地域のタネから作る「循環型食システム」を張り巡らせるというものです。
今永田町ではかつての田中角栄氏のような議員がめっきり減ってしまったので、日本のために必要な議員立法だと訴えても皆さん反応が悪いと。
(注:本書刊行の翌月に参議院で提出され時間切れに。臨時国会で再提出予定)