「年会費のかかるゴールドカード」の罠

筆者もドコモショップに行くたびにこのカードを勧められる。

「年会費はかかりますが、還元率が高いので、現在のスマホやネットの使用料ならポイント還元で年会費の元は取れますよ」と言われて。このアンケート結果を見ると、そうかと素直に切り替えた人が少なくなかったのだろう。

とはいえ、年会費の元を取るためには、一定額以上スマホやネットを使い続けなくてはならない。格安プランに変えたり、別のキャリアに乗り換えたりしたら、そのメリットは消えてしまう。通信料を節約しようとすればするほど、実は「実質無料」は遠ざかっていくのだ。

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「実質無料」はスマホキャリアの契約やネットの月額サービスなどでよく見られる無料商法だ。何らかのアイテムを買っておしまいではなく、継続して使用してもらえばもらうほど、先方に利益をもたらす。

さらにポイント還元による「実質無料」には厄介な点もある。そもそもポイントとは「使うためのお金」だ。しかもポイントには利用期限がある。よく考えればサービスが無料になったのではなく、同じ金額をチャージしたポイントカードを渡され、なるべく早く使ってくださいねと念を押されたようなものだ。

お金に色はついていないといわれるが、この場合は「払ったお金」と「もらったお金」にははっきり別の色がついている。

おまけにスマホを使えば使うほど、カードで決済すればするほど、さらにポイント還元の対象になるので、利用者はそこにとどまり続ける。つまり、「実質無料」の先には、あらたな出費の種が延々と撒かれているわけだ。トクしたのは果たして誰なのだろう?

トラップだらけの「条件無料」

無料は無料でも、適用される条件を付けているのがこの「無料」だ。代表はネットショッピングでの「あと○円買えば送料無用」だろう。ネットで買うのはリアル店舗より安いからであって、送料を払ったら意味がない。とにかく、余計なお金は払いたくない――ざっとそんな心理だろう。

しかし、財布から出ていくお金は同じお金のはず。無理やり欲しくもないモノを検索までして買って送料をゼロにしたところで、トクしたと言えるだろうか。わざわざ探した余計なモノの代金の方が送料より高いことだってある。

あと3000円買えば――と言われたら、では実際に送料がいくらなのかを確かめたほうがいい。それが1000円で済むなら潔く払ったほうが安く済むのだから。

条件付きで「無料でもらえる」のは、コンビニで見かけるパターン。「対象商品を買うとペット飲料が無料」というキャンペーンは人気らしい。お金を払わず、もう一品もらえるのだ、これ以上のオトクはない。

かくして無料の恩恵を受けるために出かけては、決められた「対象商品」にお金を払い、それだけだとあからさまなので、ついでに他の商品も買って帰る。まさに店側が期待した通りのお客様となって。