淡々と犯行の詳細を語りだす

被害者の人数からいって、当然ながら検察による死刑求刑が予想される事案であり、私は死刑の回避を望む白石が、きたる裁判に備えて自身の犯行への関与を否認したり、弁解したりするものだと思っていた。

だが、そのような様子はまったくなく、彼は淡々と自身の犯行を認め、それまで世間では知られていなかった死体損壊と死体遺棄の様子について、詳細な内容を明かすのだ。

部屋に遺体を残しておくことに躊躇はなかったのかと問う私に、彼は言う。

「携帯で処分方法をいろいろ調べたんですね。そうしたら、遺体の見つかるリスクが高いのが、“捨てに行くときの職質”と“穴を掘って埋めようとしているとき”、あと“埋めたのを犬に掘り出されて”だったんですよ。だから、いずれレンタル倉庫を借りようと思っていました。その矢先だったんです」

室内に遺体を置いていると、臭気等に悩まされたのではないかとの質問には、「いろいろ調べて、完璧に処理してたんです。それで全然臭わなかった」と嘯く。白石は事あるごとに携帯を使って、方法を調べていたようだ。

東京拘置所(東京都葛飾区小菅)(写真=Kakidai/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons

「人生で嗅いだことのない臭い」

「臭い消しについては、『腐敗臭』でやると、バーッと出てきますよ。漂白剤が効くとか、猫砂がいいとか……。その通りに試してやってました。もう、●●(商品名)が半端ないです。まな板の消毒とかにもいいし……」

その発言とは矛盾するが、そうやってもなお消えることのない遺体の臭気の強さについて、アクリル板越しに訴えたこともある。

「臭いは強いです。とくに内臓とか尋常じゃないです。腹を割ったときが一番すごい。割った瞬間に臭いが出てきますから。臭いについては警察でも聞かれたんですけど、説明しようがない。それまでの人生で嗅いだことのない臭いです」

私としてはその臭いよりも、遺体を解体する気味の悪さが先立つような気がするのだが、彼はそうではなかったようだ。淡々と話す。

「(気味の悪さは)自分でなんとか乗り越えました。腐敗臭で満たされるのは辛かったですよ。最初の解体には2日かかったんですね。その2日間は腐敗臭で満たされてたから辛かったです。ただ、腐敗臭がとにかく辛いけど、捕まりたくない一心だったんです」