たしかに初期ステップでは女性が有利だが…

私はこれまで20万人以上のビジネスパーソンを指導し、育成してきました。中でも特に力を注いできたのが営業教育です。企業研修だけでなく、20年以上前から女性限定の営業塾TSL「トップセールスレディ育成塾」を運営し、多くの女性営業パーソンの成長を見てきました。

この経験を通じて確信していることがあります。それは、営業の初期ステップでは女性が有利だということです。

なぜなら、女性は一般的にやわらかい印象を与えやすく、高いコミュニケーションスキルを持つ人が多いからです。ビジネスにおいて、初対面の相手から警戒心を抱かれにくい、というのは大きなアドバンテージになります。「とりあえず話を聞いてみるくらいはいいかな」と相手に思わせることができるかどうかは、初期ステップの成功を左右する大きな要因です。

「女を売る」には明確なデメリットがある

ただし、ここで重要なのは、女性というだけでその先の営業活動がすべてスムーズに進むわけではないということです。初回アポイントを取ることはたしかに女性に有利な点が多いですが、そこから2度目、3度目のアポイント、そして最終的な契約に結びつけるためには、営業力そのものが問われます。

女性であることを前面に押し出して、さらにその特性をアピールすることで契約を取ろうと考える方もいるかもしれません。また、一歩踏み込んで、いわゆる「女を売る」と言われるような、性的な魅力を武器にした営業スタイルを取る方も中にはいらっしゃいます。

実際、そのような営業スタイルで一定の成果を出せることはあるでしょう。「何が何でも結果を出す」という強い覚悟は、評価に値するかもしれません。

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しかし、私はこの方法をお勧めすることはありません。なぜなら、成功しやすいように見えるこのアプローチには、長期的に見て明確なデメリットがあるからです。