球団にとっておいしいCS
NPBでは、観客動員でセントラル・リーグより劣勢だったパシフィック・リーグが、1973年から82年まで前後期の2シーズン制を導入。前期優勝チームと後期優勝チームのプレーオフの勝者がセ・リーグとの日本シリーズに進出することとなった。しかし2シーズン制は、人気挽回策とはならなかったため、10シーズンで終了した。
その後、パ・リーグは2004年から2006年まで、ペナントレース2位、3位のチームがプレーオフを行い、その勝者が1位と対戦していた。この方式を2007年からセ・リーグも取り入れるようになり「クライマックスシリーズ(CS)」として定着している。
クライマックスシリーズは2位チームと3位チームが対戦する3戦2勝制のCSファーストステージと6戦4勝制(1位チームに1勝のアドバンテージ)のCSファイナルステージからなる。
ポストシーズンはCSが各リーグ最大9試合、日本シリーズが最大7試合の16試合にまでひろがっている。
これによってMLB同様、本来早々にオフシーズンになっていた10月がもう一つの盛り上がりとなった。
日本シリーズはNPB機構の主催だが、CS各ステージは球団の主催ゲームとなる。CSの試合は連日満員になるから、CSに進出することは、球団にとっても少なからぬ増収になるのだ。
根強いCS不要論
これに加えて、ポストシーズンに3チームが進出するようになったことで「消化試合」が大幅に減少したのも大きい。
今季のパ・リーグのように首位のソフトバンクが大きなゲーム差をつけて早々と優勝を決めると、これまでなら、あとは優勝争いに関係がない消化試合となっていた。個人記録を狙う以外は目標のない試合になる。観客も減り、味気ない試合が1カ月近くも延々と続いたものだ。
しかし、CSができたことで、2位、3位争いという目標が生まれた。今季のパ・リーグでも2位日本ハム、3位ロッテ、4位楽天はシーズン終盤まで激しい順位争いをした。
ポストシーズンに進出するチームが増えることで、ペナントレース全体の盛り上がりが長く持続されるようになったのだ。
しかしながらCSに関しては、根強い反対意見がある。
「3月終盤から10月初旬まで、半年以上もの長い間戦って1位になったチームが、わずか数試合のCSステージで負けたら、日本シリーズに出られないのは理不尽ではないのか?」
「CSファイナルステージでは、1位チームは1勝のアドバンテージがあると言っても、短期決戦だから負けることだってある。CSはプロ野球にとって最も重要なレギュラーシーズンの価値を貶めているのではないか?」