タレント本は読みやすい

また、いわゆるタレント本は、ゴーストライターが書いていることが多く、したがって文章が上手で読みやすいため、そうした意味でも相談者の方が選んだ本は正解だったと言えます。ぜひ次の本もタレント本を候補に入れてみてください。

多くの場合、ゴーストライターは、本を書くことについては素人であるタレントさんが思いつくままに話したことをまとめるのではなく、目次の構成を考えてからタレントさんに会います。

タレントさんには、目次に沿ってインタビューをしていき、本文を仕上げていきます。そんなイメージで書いていきますから、全体像も捉えやすく、読みやすいものに仕上がることが多いのです。

私が子どもの頃、図書券をくれた叔父が「マンガは買ったらダメだよ」と言ったことがあります。遊びではなく、勉強するために使いなさいという意味だったと思います。

私たちも親戚の子どもにネット書店のギフトカードをプレゼントして、その子どもがセクシー女優の自叙伝を買ったら、苦笑いするしかないでしょう。その職業にまったく偏見を持っていない私でもそうなると思います。

しかしながら、上記のステージ3に該当する本を選ぶときは、親戚のおじさんに「こんな本を買ったよ」と自慢できない本でもOKです。

読むことに慣れるときには、(先にも述べた通り、)本当に読みたいものを選ぶことが必要だからです。

写真=iStock.com/Punchim
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熱中して本を読んだ経験

大人になったときに読書力の備わっている人は、(当たり前のようですが、)成長する段階で、熱中して本を読んだ経験を持つ人が多いと思います。

私自身は、特別に読書が好きな子どもではありませんでしたが、中学1年のときに有名人の自叙伝を熱中して読みつけたことがあります。

あまりに感動して、わんわん泣きながら何度もページをめくったのは、矢沢永吉さんの『成りあがり』です。この本を矢沢永吉さんにインタビューして書き上げたのは、若い頃の糸井重里さんで、ご本人にとっても、これがはじめての書籍の執筆だったことを何十年も経ってから知りました(そういえば糸井重里さんによる、やたらと印象的な「あとがき」があったのを思い出します)。

当時は漫才ブームで、ビートたけし、明石家さんま、島田紳助といった人たちがスターダムにのし上がった頃でした。

ビートたけしさんの毒舌ネタの本、明石家さんまさんの自叙伝『ビッグな気分 いくつもの夜を超えて』、島田紳助さんの自叙伝『紳助の青春の叫び PART5』は、どれも繰り返し読んだものです。